「ハンバーガー」 ロッテリア、明年度から市街地出店を活発化 女性客誘引に意欲

1992.11.02 15号 4面

ロッテリアは洋菓子メーカーロッテグループのファーストフード事業としてスタート。日本マクドナルドの外資系資本に対し、民族資本でのチェーン展開として注目されてきたのであるが、その巨大な資本力をバックにしている割には、出店数も売上げも伸びていない。

九一年度の売上高ランキングでは、出店数は直営四二七店、FC二二四店の計六五一店、売上げ(九一年6月決算)は六九一億円強と、二〇〇社全体ランキングは一五位の成績。

出店数、売上げともにモスバーガーの後塵を拝しているということになる分けであるが、ボリュームの伸びもさることながら、出店数、売上げともに前年比二%にも満たないというのは、ストアマネージメントやマーケティングに決定的なパワー不足をきたしているということが指摘できる。

マクドナルドやモスバーガーの伸び率は、出店数、売上げともに各一〇%台、八~一〇%台の数字を出している。しかも、モスバーガーの出店戦略にならってチェーン化を意図していた小型店舗の「ロロバーガー」も、オペレーションの悪さから失敗に終ってしまっている。

とはいっても、ロッテリアはハンバーガー業界では第三の位置にある。オリジナリティの生き方を見出せば、ナンバーワンになれる実力は備えている。

ハンバーガーキッド(ファン)の間には、マクドナルドのシェイクを買って、モスのテリヤキバーガーを食べて、デザートにロッテリアのアイスクリームをなめるという伝説がある。

各チェーンの商品特性をついていて興味あるストーリーであるが、この業界伝説からすると、ロッテリアはアイスクリームなどデザート商品が売りということになるのか。

それはあくまでも例えばなしとしても、ロッテリアにもオリジナリティで、かつ強烈なインパクトを与えるハンバーガー商品が欲しいところである。

もちろん、ロッテリアにも「えびバーガー」(二八〇円)や「リブサンド」(三〇〇円)などオリジナリティのほか、日本人の味覚に合せた「てりやきビーフバーガー」(二九〇円)、「てりやきチキンバーガー」(二九〇円)、「てりやきリブサンド」(三三〇円)などという商品もラインアップしているのであるが、いま一つ消費者にアピールしていない。

せっかくの商品開発も、消費者にその熱気、おもい入れが伝わってこない。やはり、PR、マーケティング不足ということか。

しかし、ロッテリアは今後のチェーン展開の方向としては、①女性層を対象としたメニュー開発②デザート商品の充実化③ホットドリンク類のバリエーションを拡げる‐‐という考えのもとに、ハンバーガー中心のオリジナリティメニューの開発に全力投球するとしている(ロッテリアマーケティング部)。

ハンバーガーといえばビーフメニューをイメージしがちであるが、ロッテリアの場合はビーフだけでなく、チキン、ポーク、魚介類ありで、他のチェーンに比べバラエティに富んでいる。

つまり、ロッテリアの場合は、多様な食材を取り入れることができる強力なバイイング機能を有しているということである。

五二年から他チェーンに先がけて導入したエビフライをはじめ、チキンコンボ(三八〇円)、肉類ではないがベークドパイなどはロッテリアのオリジナルメニューとして、消費者に強くアピールしている。

ロッテリアは明年度からはさらに独創性があって、消費者ニーズにフィットした新メニューをラインアップしようとしているのである。

一方、出店戦略については、投資コストの低いロードサイド立地の「ドライブスルー」という考えもあるが、むしろ市街地出店に力を入れてチェーンスケールを強くアピールしていく方針にある。

ロッテリアのライバルは創業時からそうであったように、あくまでもマクドナルドである。モスバーガーを追い越し、マックをキャッチアップするために、チェーン展開については都市部で高密度に出店していくという考えである。

果して、思惑どおりに展開していくか、どうか。ロッテリア今後の推移が注目される。

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