で・き・る現場監督:ラーメン珍珍珍鶴見店・田村桂一店長補佐

1999.02.15 172号 3面

珍珍珍チェーントップの鶴見店は、スーパーバイザーでもある岡田進一店長のもと、昼夜それぞれの店長補佐ほか正社員三人、パート一人、アルバイト一人で月商一〇〇〇万円を売上げる。一昨年11月にリニューアルオープン。ボックス席を四つ増やしファミリーや女性連れ層(学生、OLなど)を取り込んだ。

このとき昼間フロア担当の田村さんは、「なるべくお客と会話できる」接客に切り替えた。珍珍珍チェーンでは、スープをトンコク、江戸だしの二種類から選べるが、「トンコクが店の売りでもあり、男性顧客が大多数だったときは、黙っていればトンコクスープで、会話なしでも注文が成立」していた。自販機で食券を買い、座れば注文したものが出てくるシステム。簡単だがこれでは「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」しか声があがらない。

「そこで食券をもらうときに必ず声をかけ、お客の希望を言ってもらうよう」心がけた。迷っているお客にはスープのそれぞれの特徴を説明する。さらに「麺のゆで加減、味の濃さ、油の増減など好みを言ってくる客がいれば、すかさず『お連れの方(次の方)はどうしますか』と話しかけます。そうすればそのやりとりを聞いているお客が『次は自分も何か言ってみよう』と思うもの。わがままが言える雰囲気を作るのがコツです」。

客にとっては自分仕様にできる満足感、店にとってはそうした会話がさらなる活気を生んでいく。年配の客層も徐々に増えているそうだ。ただ、ひと手間受ける分だけ、作業も当然複雑になる。「新人には細かく指導をしますが、それぞれが将来一国一城の主になる夢を持っているので、チームワークはとりやすい」と田村さん。全国的な店舗展開を進める同チェーンならではの強みだろう。

もちろん田村さんもその日に向けて精進中のひとり。辣腕岡田店長に学ぶのは、「常においしいものを作りさえすればお客は来てくれる」ことにつきるという。その実現には仕事を要領よくさばき、安定した味を提供できる技術とセンスを磨き、また「お客さまを大事にする」姿勢も当然含まれる。

鶴見店は、バラエティーに富んだメニュー展開よりラーメン中心で勝負する直球型。午前11時から翌朝4時までほぼフル回転だが、夕方の4時から5時までの比較的空く時間帯に「お客を呼ぶ仕掛けを」皆で考案中という。

◆たむら・けいいち(ラーメン珍珍珍鶴見店店長補佐)=昭和34年、東京都生まれ。外食の世界で働く意欲を持っていたものの「しゃべるのが苦手」だったため、まずはサラリーマンとして営業職に就くこと八年。六年前に康和食産(株)入社。一昨年、鶴見店店長補佐に。休みの日は勉強を兼ねて食べ歩くほかゴルフもたしなむ。

◆康和食産(株)/代表取締役=古山邦男/創業=昭和57年/本部所在地=東京都練馬区高野台二‐一三‐一六、Tel03・3995・3301/資本金=一二〇〇万円/店舗数=直営四、フランチャイズ一四二

◆珍珍珍鶴見店(横浜市鶴見区市場富士見町八‐一一、Tel045・503・0311)/店舗面積=一八坪・二七席/来店客構成=男性八対女性二/客単価平均=八一〇円

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