飲食トレンド:「江戸菜」ジャンボな江戸っ子野菜

1999.04.05 175号 1面

東京の地場野菜として知られる小松菜。今にたくましく生きるこの小松菜を親に、ジャンボな野菜「江戸菜」が誕生、新しい地場野菜の登場と注目されている。江戸菜は、酵素栽培で大きく育てられた新野菜で、小松菜の二倍の長さ、茎の太さは三~四倍、カルシウム、ビタミンA、鉄分などを豊富に含む。柔らかく、シャキシャキ感ある元気な新野菜は、東京・江戸川区から全国区へとその名を広めようとしている。

江戸川区の「異業種グループ・創る会」は、地元の産物づくりを模索中、江戸時代から地元で栽培されている小松菜に着目。これを漬け物にしてはどうかと酵素栽培を始め、改良を重ねた結果、大きくて栄養豊富でシャキシャキ感のある江戸菜が生まれた。

江戸菜の生みの親は、グループ会員でもある(株)旦千花の大槻一史社長。同氏は、酵素栽培法で二mにも及ぶジャンボ大根を作ったことでも知られており、このノウハウを生かし「次代を背負う子供たちにカルシウム豊富な野菜を供給したかった」のが開発のきっかけという。

酵素栽培とは、農業用植物活性酵素を作物にかけ、光合成を活性化し、作物自身の能力を一〇〇%引き出し、肥大化、収穫量アップを狙ったもの。

江戸菜の本格栽培は平成8年から。「健康・安全・おいしいをモットーに長い目で育てていきたい」と大槻社長。

三〇軒の農家で一つ一つ吟味して育てた江戸菜は、一日二〇〇~五〇〇キログラムを生産。商品は市場を通さず使用者との直接販売システムで、一キログラム三八〇円。

現在、漬け物のほか、原菜でもレストランや学校給食などで確実に愛好者を増やしている。

江戸菜を積極的に採用、さまざまなメニューを展開する「紅虎餃子房」。

「江戸菜は癖がなく、さわやかな青菜。葉と茎を使い分け、組み合わせでいろいろな演出できる便利な野菜」と、中井丈二支配人。

春はマコモやヒメタケノコ、秋はキノコに合わせるなど、季節感ある独創的メニュー幅をどんどん広げていく。

使いはじめて一年。「彩りは鮮やか、シャキシャキした食感、食べて歯に挟まらないなど、お客からも好評を得ている。今では青菜の七割を江戸菜で占めるほど」で、使い勝手ある野菜として重宝しているという。一日二〇〇~三〇〇キログラムを使うそうだ。

◆「紅虎餃子房」(東京都千代田区丸の内1‐6‐1、丸の内センタービルB1、Tel03・3212・1772)

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