飲食トレンド:ダチョウで乾杯、刺身が人気
数年前にはヘルシーな肉として話題となったオーストラリアに生息するエミュー。鳴りをひそめた今、酷似するアフリカサバンナにすむダチョウが話題となっている。低脂肪、低カロリー、栄養価の高い肉と評価されているダチョウ肉。従来の外国産依存から国内での飼育業者の奮闘により、徐々に国内産が出回りはじめている。現在、全国の飼育総数は三五〇〇羽といわれ、その数は年々増加傾向にある。安全・安心なダチョウ肉が二一世紀の新しい食材として大きく羽ばたくか注目される。
安全・安心・健康志向に応えてダチョウ肉をメーンに登場したのが居酒屋「ダチョウ村・綾瀬店」。
三年前、國井周二店長がテレビでダチョウのことを知り、いっそこれを看板に据えてみてはと、昨年12月、焼鳥屋から思い切って業態転換してのオープンだ。
初めて食べた感想は「癖がなく、仔牛肉に似た味。その上、カロリーは牛・豚の約半分、自然放牧で薬を使わないヘルシー肉」と気に入る。さっそく安心できる国産肉の仕入れルートをつけ、ダチョウメニュー六品をオンメニュー。
口コミで広がる客層は新しもの好きの若い女性やカップル客が中心。週末には子供連れのファミリー客も。「意外に刺身がダントツ人気。ユッケ、空揚げがこれに続く」とか。
今後、内臓を使ってあっさりと塩焼きにしたり、一個一五人分にはなる卵を利用し、お客にホットプレートで焼かせる卵焼き、ゆでた卵をトンカチで割るなどのパフォーマンス入り宴会メニューで「国産ダチョウ肉のおいしさを普及させていきたい」と意欲満々である。
「九六年、中国のダチョウ飼育番組を見て、軽い気持ちで取り組んだのですが」と笑う「常南グリーンシステム(株)」(茨城県石岡市鹿の子二‐三‐二二)の矢口隆文社長。現在、七ヘクタールの牧場に七〇〇羽を飼育する日本一の「ダチョウ王国」を経営する。
当初、成長したダチョウを養殖業者に販売していたが、昨年、食肉処理業の許可を得、国内初のダチョウ肉専用の処理工場を設置、肉の販売にも力を入れる。
「ダチョウ産業は始まったばかり。外国産に頼らず国内産で安心のできるヘルシーな肉として普及できるように頑張りたいですね」と矢口社長。今後の飛躍が期待される。
◆居酒屋「ダチョウ村・綾瀬店」(東京都足立区綾瀬一‐三〇‐一〇、優和レジデンス一〇二、Tel03・3603・9208)