飲食店の血液型対応学(11)A型
書店でよく目にする「ノストラダムスの大予言」は、後藤勉氏の大ヒット本である。たしか、一〇号以上出版されたと記憶している。合計冊数では、二〇〇万冊に迫る大ベストセラーである。
「一九九九年7の月、恐怖の大魔王が空から降って来る!」という予言が一番有名だが、今は既に12月。結局何も無かった。がしかしそれでも、良かった、良かった、とソッと胸をなでおろしている人間がいる。これが案外A型に多い。
冷静に考えれば、電気も石油もない一〇〇〇年も前の予言が当たるはずはないのだが、それでも「もしかしたら、ひょっとしたら」と心配になる。将来を不安視するこの傾向は日本人に特有の「心配性」である。
これは、A型の鋭い注意力やち密な考え方、綿密な思考からきている。
「現在の状況を考えてみると、どうも将来が不安だ」人口爆発、異常気象、公害・環境汚染、各地の紛争、食糧危機、財政赤字などなど心配になるときりがない。
「ひょっとしたら、ノストラダムスの予言は的中しているのでは?」と思いだす。そこで大ベストセラーが生まれる。この傾向は、週刊誌を読んでいると良くわかる。
「円高で企業倒産続出!」「小渕内閣で日本は駄目になる!」「金融再編で銀行がドンドン潰れる!」しかし、円高のおかげで金が余ってバブルになったし、小渕内閣のお陰でバブルの清算はできたし、景気は持ち直しそうだ。不良銀行が潰れ、外国金融資本が進出してきて競争が激しくなり、国内銀行もサービス内容が良くなった。悪いこともあれば良いこともある。それが世の中である。
しかし、日本人、特にA型は不安で不安で仕方が無い。だからそこを突けば確実にもうけられる。“不安あおり”は銭になるのだ。この不安感を上手に利用しているのがマスコミ。
このままでは「外食産業」は駄目になる! これで良いのか「外食産業」! という特集記事がよくある。この「外食産業」を、「日本の政治」「日本経済」「学校教育」「ファッション」「風俗産業」「農業」などなんでも良いから入れ替えてみれば、大抵の新聞や週刊誌はできてしまう。
A型店長は、A型特有の「心配屋」さんだ。だから、ドジ夫君の以下のようなドジ応対をしては、店長は不安で不安で仕方がなくなる。しまいには、ドジ夫君を無視して仕事をするようになるから要注意。
◆
A型店長:ドジ夫君、おはよう!
ドジ夫君:アッA店長、おはようございます。
A型店長:ところでドジ夫君、今日のお昼のランチメニューは何かな?
ドジ夫君:エ~ッと、何だったか忘れちゃいました。
A型店長:それじゃ駄目だよ。ドジ夫君は、主任なんだからもっとしっかりしてくださいよ。
ドジ夫君:どうもすみません。今すぐに確認しますので。
A型店長:ところで昨日少なくなっていた牛肉は、朝一番で注文を出してくれていますか?
ドジ夫君:それはもちろんです。でも店長、それ鶏肉じゃなかったのでしたっけ?
A型店長:(ムム…)その件は、昨日の夕方三回も確認していますよ!
ドジ夫君:あっ、すいません!牛肉でしたね。今思い出しました、すぐ電話します!
(*A型店長、絶句に近い切れそうな精神状態)
ドジ夫君:それから店長、まだ早いのですが、今年の冬休みは女房とラスベガスに行きたいので一〇日間ほど休みをいただけないでしょうか? もちろん1月後半にですが。女房が一度、どうしてもラスベガスに行きたいって言うものですから、ハイ。
A型店長:(冷たく)アアそうですか。明日からお休みして行かれたらどうですか?(完全にキレた!)
A型店長とドジ夫君の応対は最低である。これではコミュニケーションどころか、お互いの不信感しか生まない。こうではなく、以下の良夫君とA型店長との対話のように、相手に安心感を与える部下になりたいものである。
◆
A型店長:良夫君、おはよう!
良夫君:アッ店長、おはようございます。昨夜は遅番だったのにお早いですね。
A型店長:いや今日は、ドジ夫君の初めての早番マネジャーの日だからね、いろいろ心配でね~。
良夫君:僕がフォローしますので、店長はお休み下さい。先ほどの肉の件は修正入れてあります。
A型店長:いや~、ありがとう。君がいてくれて助かるよ。
良夫君:それにランチですが、本部からの推奨ランチの、サーモンフライの在庫が切れています。
A型店長:そうか、弱ったな、それじゃ白身魚のフライで代替えし、メニュー表示しよう。
良夫君:ええ分かりました。社員やパートに分かるように、デシャップにも掲示しておきます。
A型店長:ウン、頼んだぞ!(内心、この良夫君は使えるな~)
良夫君:それから店長一つ提案なのですが、フロアの担当が最近マンネリ気味でお客さまサービスに今一歩の進歩がないように思えます。そこでフロアのパートさんの配置替えを行いたいのですが、いかがでしょうか?
A型店長:それは私も気付いていたんだ。良夫君良い機会だ。来週の幹部ミーティングに、その配置案を出してみてくれないかね?
良夫君:ハイ店長。今週中に原案を作りますので、まず店長に見ていただいてからと思います。
A型店長:ウン、楽しみにしていますよ(ホントにできる奴だな)。
と、こうなるのである。
情にはもろい
A型は神経質でうるさい奴と思われがちだが、このように先回りして、積極的に提案型の上司対応ができれば、決してA型は御しにくい相手ではない。しかしどうしても苦手という御仁に最後のアドバイス。A型は義理人情に弱い日本人の典型。だから最後は、情に絡ませるのも手である。
例えば冬休みの件では‐
「故郷の八〇歳になるおばあちゃんが、がんで病院に入院して、余命いくばくもないと言われているんです。私たち夫婦の結婚式にも来れなかったので、ぜひ一度嫁さんをおばあちゃんに見せてやりたいのです。申し訳ありませんが、1月後半でけっこうですから一〇日ほど冬休みいただけないでしょうか?」
‐とやると、情にもろいA型は「すぐにでも行ってやんなさい!」となる。ところがついうっかり、砂漠焼けの日焼顔で帰って来ると、ラスベガス帰りは即バレバレだから十分気を付けようね。
(血液型対応学研究所・エービー海老尾)