中国料理のオリンピック開く
ついに「第三回中国料理世界大会」が3月8日と9日、開催された。四年に一回開催される中国料理オリンピックで、過去二回を中国本土で開催、今回初めて海の外、しかも日本に舞台が移された。同じ中国料理が各国ではどう変化していったのか。一堂に会して披露し合う場でもある。
この大会は、世界烹■連合会と(社)日本中国調理士会の共催で、世界各国に散る中国料理従事者が一堂に会し、コンクールなどを通して交流を行い、中国料理文化と技術の継承・発展、また中国料理と中国料理従事者の国際的な地位向上と中国料理の普及・啓蒙を趣旨とする。
今回の参加選手は、中国、台湾、香港をはじめ、マレーシア、カナダ、オランダなどから一三四人(団体二四チーム)、日本から七二人(団体一八チーム)の総勢二〇六人。
会場には選手や観客を合わせ三万人が集い、個人・団体で競う「中国料理世界コンクール」(冷盤、熱菜・水産類、熱菜・畜禽類、麺点の四部門)や、各国料理の展示「世界の中国料理模範作品展」、麺打ち、野菜彫刻などの実演、中国料理関連商品の展示など、盛りだくさんの催しを楽しんだ。
フィナーレは、日ごろの腕を披露するコンクール。選手たちがかたずを飲む中、部門ごとの入賞者が発表され、一人ずつ壇上に上がり受賞する。どの部門も金賞は複数、優勝者一人でないところが趣旨に合っている。
審査員からのコメントとして、「食材の範囲の広さ、料理法の多様さ、包丁の使い方、盛り付けの彩りの良さなどに感心する。ただこれからの留意点として、鑑賞だけではなく実用性の重視、基本の修得」などをあげていた。
中国料理にも、確実に若い層の潮流が流れているようだ。小皿料理など斬新な創作料理を展開する脇屋友詞氏は、「数ある中で、光って見えるのはやっぱり古いもの。素材の良さを生かしている」。
また、宮本荘三氏は、「日本は飾り付けは素晴らしいが、仕事が確かなのは中国。繊細で皿の中の演出は素晴らしい。こうした伝統料理が今に受け継がれているのに感激した」と語っている。
原点回帰、温故知新が言われて久しい。次の大会には、どう変化していくか楽しみである。