飲食FC最前線(6)お好み焼き・たこ焼き・クレープFC最前線
FCの記事として取り上げられることが非常に少ない分野がこのお好み焼き・たこ焼き・クレープFC分野である。フードサービス業界において売上高や店舗数などは非常に少ない。また、主食というよりは、間食や軽食というスナック系に分類されることの多い外食分野ではある。
しかし、手軽な上、材料やソース・調味料などが豊富でいろいろある中から自分の好みにあったものを自由に選べ、しかも低価格で気軽さ手軽さがある。店やチェーンにおいて特徴を大きくだせる業種である。よって、ひとたびヒットすれば流行になりやすく大化けしやすい特性を持つ。
お好み焼き・たこ焼き・クレープ分野の見方は難しい。間食であるのか軽食であるのか。この見方によって、戦略などのマネジメントが大きく左右されてしまう。
クレープなどはデザート系間食ということで一九八〇年代に大ヒットした。また、お好み焼きなどは関西地方では軽食に属される場合が多いが、関東では間食と見られやすい。健康志向やダイエット志向から、最近の外食シーンでは、間食は敬遠されがちである。特にデザート系間食はそうである。
間食系の外食では、「限定」や「行列のできる」という修飾語句がつけば消費者の心も踊るが、普通の商品ではもはや、食欲は美欲に勝てなくなっている。
このような傾向から、最近では間食系というよりは軽食という傾向に向かっている。お腹があまり空いていないときの軽い食事という主食の代替的なものである。
お好み焼き・たこ焼き・クレープ分野は、その店舗の立地環境によって、客層が違ってくるし、商品のABCランクも変動する。だが、低価格・手軽・気軽ということで、ショッピングセンターやスーパーなどのフードコート、人の集まるターミナルポイントなどにおいては人気誘致業種である。
個店での展開であれば、立地や客層に合わせ、独自のマネジメント展開が可能であるが、チェーン店などではバラバラなマネジメントを行うわけにはいかない。チェーンメリットがなくなってしまい、チェーンブランドを冠することによる最大のメリットである「消費者への安心感」の提供ができなくなってしまうからだ。
そこで、チェーン店として展開するのであればだれが食べてもおいしい味を深く追求することが大切になる。ここで本部の力が生きてこよう。また、各店舗においては、出来立て、作り立てというおいしさを流動通行客へどの程度アピールできるかが勝負になる。閉店間際だからといって、店じまいの用意をしているようなお店ではだめだ。閉店間際までホカホカ感、アツアツ感を保てるお店でなくてはならない。
お好み焼き・たこ焼き・クレープFCは、各店舗において重厚な造りがいらず、比較的低コストで出店できる。商品力が強力であればまたたくまに積極拡大ができるので、近年その人気は高まってきている。
お好み焼きであれば、三角屋根と水車で水引小屋をイメージした郊外ロードサイドで展開している「道どん堀」、たこ焼きであれば大きなたこ焼きの「築地銀だこ」などが赤丸上昇中である。また、京風たこやきの「京たこ」なども特徴があり人気がある。クレープであれば、クレープ生地のおいしさでは他に追随を許さない「クレープハウス・ユニ」などが有名だ。
また、たい焼きや大判焼き、ソフトクリーム、焼きそばなど他の商品と組合わせて品ぞろえにバラエティーさを出すとともに、客層にあわせた商売を可能にしているFCでは、「一口茶屋」や「あいあんクック」「おやつ家チェーンじゅんじゅん」など多数見受けられる。
(中小企業診断士・三浦紀章)