これでいいのか辛口!チェーンストアにもの申す(47)松屋の牛丼290円

2000.11.06 215号 22面

松屋((株)松屋フーズ)は、本年9月27日から「牛丼」(松屋では「牛めし」普通盛り)の値段を一一〇円半永久的に値下げした。普段、松屋の牛丼は四〇〇円である。つまり、二九〇円という超お値打ち牛丼が誕生したのである。松屋は吉野家同様に根強いファンが多く、この値下げ断行のニュースは松屋フリークの大学生、専門学校生、ヤングサラリーマンに麻疹のように伝播し、神田あたりでは大変なニュースとなった。

吉野家、10月中旬から恒例の「牛丼一〇〇円引きセール」を開始したが、松屋と競合している都心地域では、いまいち盛上がらないセールとなっている。

こうした牛丼チェーンの値下げ競争の背景に、この春以降の牛丼各社の苦戦がある。昨年、吉野家、松屋、すき屋、なか卯ら牛丼各社は大幅利益を計上した。しかし今年に入り、なか卯以外の各チェーンは苦戦しているようだ。

特に松屋の前年対比は、7月一〇・六%減少、8月八・三%減少と既存店は下降線にある。それに追い討ちをかけるように今夏は記録的な猛暑。牛丼は暑さに弱い。「気温が上がるたびに牛丼の売上げが落ちる」というデータもある。こうして、前述の思い切った「値下げ断行!」というニュースになったのである。

ではなぜ、松屋が二九〇円牛丼を恒常化できるのか? それは吉野家より松屋の方が、断然メニュー数が多いからである。吉野家は、立ち食いそば屋でさえある定番のカレーライスもメニューには無い。まさに“牛丼一筋”営業なのである。

松屋も牛めしは主力(恐らく全売上げの四〇%台)ではあるが、他のメニューがそのマイナスをカバーできるから強いのである。

一方吉野家が松屋に対抗して牛丼値下げを半永久的に断行すれば、年間一〇〇億円もの利益を上げる高収益経営が根本から崩壊しかねない。単品を研ぎ澄ました吉野家の強みは、半面弱みでもあるのだ。

そういう意味では、マスコミの喧伝する松屋VS吉野家の“値下げ戦争”という図式は、表面的な偏った報道ではないだろうか。

(仮面ライター)

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら