データで見る食のトレンド(4)拡大する料理品小売業

2001.07.16 232号 11面

通産省の商業統計によると、平成11年の料理品小売業の商店数は七万店(前回九年調査比一四・九%増)、年間販売額は五兆五七〇〇億円(同二九・五%増)。低迷する飲食料品小売業の中で最も成長を続けている業種である。

料理品小売業とは、主として各種の料理品(折詰料理、惣菜など)を小売する(店内で飲食させるために販売するもの=「飲食店」を除く)事業所をいう。

具体的には、惣菜屋、折詰小売業、揚物小売業、仕出弁当屋、駅弁売店、給食センター、サンドイッチ・ハンバーガーなどの調理パン小売業、おにぎり小売業、すし小売業、煮豆小売業、持ち帰りのハンバーガー店、持ち帰り弁当屋、宅配や持ち帰りのピザ小売業など、持ち帰ったり(テークアウト)または宅配(デリバリー)されてすぐ食べられる調理済み惣菜や弁当などを販売する小売業を指す。

他方、生鮮三業種の店舗数は昭和51年をピークに、野菜・果物小売業は六万六〇〇〇店から三万四〇〇〇店へ、鮮魚小売業は五万五〇〇〇店から三万店へ、食肉小売業は四万四〇〇〇店から一万九〇〇〇店と過去二三年間で店舗数がいずれも半減した。

一方、料理品小売業は二九年間で店舗数が七・六倍増、販売額が四〇倍増を示し、今や生鮮三業種との格差は拡大の一途である。料理品小売店舗数が生鮮三業種の各店舗数を上回った時期は昭和63年。このころから業界では、内食と外食の中間に位置する食事として「中食」(なかしょく)という言葉が使われはじめた。

生鮮三業種の店舗減少は、スーパーなどのセルフサービス店の出現により、ワンストップショッピングや豊富な品ぞろえと価格政策によることが大きいが、単にこのような業態の変化だけにとどまらず、素材から市販料理品への消費者ニーズの変化を物語っているといえよう。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら