めざすは一流MISS料理人:ヴィータ・カルチャースクール・篠田有美子さん

2001.10.01 237号 10面

短大の国文科二年生のときに、五〇歳になった自分の姿がバーッと浮かんだという。

「それが料理を教えている姿だったんです。あ、これが私の進むべき道だ、とビビッときましたね」

もともと菓子づくりが好きで手先の器用な篠田さん、卒業と同時に料理教室へ二年通い、働きながら「教える」仕事のステップアップを狙っていた。昨年春に(株)ヴィータ・カルチャースクールの講師募集を知り、難関をくぐり抜けてスタッフの一員に。現在、助教員の資格も取り、来年は一級の資格取得を目指して修業中だ。

担当するのは製菓とパンのクラス。そのほか六週に一回「だしの取り方」クラスも受け持つ。

「製菓のグラム単位の細かさや、正確さが要求される世界が好きなんです。でも、だしを取ることから始める料理のダイナミックさもひかれますね」

「食べることより、料理をつくる過程が好きでこの世界に入ったのですが、ここに入社して“舌が肥える”体験をし、料理の奥深さに目を見開かされました」と篠田さん。

入社後しばらくは永澤洋一校長の授業のアシスタントとして、料理を毎日、朝・昼・晩と毎食試食していた。そのうち自分の舌が敏感になり、食材やレシピのほんのわずかな違いまでわかるようになってきたという。

「休日に友達と外食をしても、食材の内容や、自分ならこう調理するなあ、といろいろ考えてしまい、まるで仕事の延長です」(笑)

生徒はOLや主婦、スチュワーデスなど女性が中心だが、クラスによっては勤め帰りの男性が一~二割を占めるという。

「料理好きでうまくなりたい方、将来店を持ちたい方や、イタリアンの料理人が和食を習いにくるなど、理由はさまざまですね」

なかには「ワインが好きなのでイタリア料理をきわめたい」という民放の男性アナウンサーもいるそうだ。

「食事を豊かに、おいしく食べてほしい。それを皆さんに伝えていきたいですね」。外食業界を育てるのは、シェフの心意気や味を理解できるよき食べ手でもある。篠田さんの仕事にはそんな大事な使命も含まれている。

◆「(株)ヴィータ・カルチャースクール」(東京都渋谷区道玄坂二‐一二五‐五、島田ビル5F、電話03・5428・0304)

●プロフィル

◆しのだ・ゆみこ=1977年富山県生まれの24歳。富山で美容院を営む両親と小学校教諭の姉がいる。帰省時につくる料理が家族に大好評で、最近は永澤氏のレシピである「グリーンカレー」が感動を呼んだそうだ。

●料理人を目指す女性の後輩へ

あこがれる人は多くても、募集がほとんどないのが料理を教える仕事。本当にやりたければ履歴書持参で会社をまわるぐらいの積極性は必要です。とにかくタネをまくこと、それが第一歩ですね。

●永澤洋一校長から一言

篠田さんは厨房現場からのたたきあげではないですが、周りに負けない頑張りを発揮しています。わからないことはどん欲に聞くし、問題が持ちあがっても決してへこたれず、翌週のメニューを休日に家でつくって持ってくる意欲もある。この時期に多くのものを吸収し、大成してほしいと思います。

●いちおし食材

ひと昔前までは、ポピュラーな飲み物として人気のあったホッピー。ヴィータ・カルチャースクールの直営店「菜食人酒」ではドリンクメニューにこのホッピーを加えた。何を飲もうか悩んでいるお客がいたらまずすすめてみるが、これまでホッピーを知らなかった世代でも、一度飲むとお代わりをするという。

セットで頼むと焼酎が別になって運ばれてくるので、二杯目からは自分の好きな割合で飲む人も多いとか。

「これからはお客参加型がはやる時代。ドリンクも最終的に自分で仕上げるという点で、ホッピーを取り入れてみました」

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