地域繁盛店(札幌)低価格メニュー編:独多日
「独多日」はボリューム感のある洋食と自家焙煎のオリジナルブレンドコーヒーが人気の喫茶店。近隣に大学やオフィス、自動車教習所などがある札幌の北市街地に位置し、学生から社会人まで幅広い層の顧客を持つ。
駐車場のある郊外店という立地を考慮し、定休以外の全日でランチを提供。時間も午前11時30分から午後4時までと長めに設定している。「日替わりランチ」や「ハンバーグランチ」など八種類あるメニューは五二〇円から六八〇円。いずれもコーヒーかオレンジジュースが付く。低価格で満腹感とおいしいコーヒーが味わえると評判を集め、毎日のように訪れる常連も多い。席数三七席で一日平均六五食のランチを売上げ、学生や独身者が多くなる週末は八〇食以上が出るという。
ランチだけではなく、開店以来値上げをしていない二八〇円のコーヒー、ディナータイムのセットメニューもほとんどが一〇〇〇円以下と低価格設定。これを維持するため、店主夫婦以外のスタッフはすべて学生アルバイトでまかない、人件費をおさえる。「若い子の接客態度を見守るために」と、厨房やレジから各テーブルを見渡せるような店内レイアウトにし、サービス面にも気を配っている。
◆ひと言 荏原孝治店主
メニューはすべて低価格設定のため、数が出ないと商売にならない。
「いっぱい売るためには、おいしくなければならない。ただ安いだけではなく、料理を食べた時に、なお安いと感じてもらえるような味。そうすればお客様に何度も足を運んでもらえると思います」と荏原店主は言う。
味を追求して手を抜かずに一皿ごと丁寧に作る。流行に乗るのではなく「これ」と決めた店の味を守り続ける。それが顧客確保につながっている。
◆愛用食材 フリコのゴーダチーズ
オープン時から愛用しているのが、オランダ・フリコ社のゴーダチーズ。荏原店主が独立する前に勤めていたホテルでも使っていた品で、「値段が高いのでうちでは無理」と一度は仕入れを断念した。が、さまざまなメーカーと種類のチーズを食べ比べた結果、「香りが高く、辛口でコクのある風味は他のチーズと全く違う。やはりこれしかない」と決断。このチーズを使ったピザは開店当時からの人気メニューになっている。
◆世界チーズ商会(株)/札幌市西区二十四軒三条二丁目、電話011・631・5331
◆日替わりランチ(650円)
洋風惣菜がメーンとなるこの店の一番売れ筋メニュー。写真の「ロールトンカツ」「チキンのチーズ焼き」のように、日替わりの料理二品にサラダ、ライス、コーヒーかオレンジジュースが付く。チキンやポークを使った肉料理が中心で、ボリュームがあるのが特徴。時にはイカやエビなどの魚介類を用いた料理も登場する。一日の売上げ平均は四〇食ほどで、常連客の九割がこの日替わりランチをオーダーする。
◆ピラフ&ハンバーグ(680円)
一五〇gのハンバーグの上にたっぷりかかったデミグラスソースは、コクのある深い味わいが特徴で、「これが独多日の味」と常連客の間で長く親しまれている。ランチメニューとしては一日平均五~一〇食と数はさほど出ないが、昼と夜を通じてたくさんの料理にこのデミグラスソースが使われている。コンソメスープで炊いたライスを、卵や野菜とからませながら炒める手間のかかったバターピラフも、香ばしさがおいしいと好評だ。
◆独多日(ひとりたび)(札幌市北区北三五条西五丁目丸光ビル一階、電話011・757・6793)