うまいぞ!地の野菜(36)東京都現地ルポおもしろ野菜発見「東京ウド」

2002.01.21 244号 15面

日本で広く自生していたウドを、野菜として栽培するようになったのは七世紀ごろといわれる。京都が栽培発祥の地とされ、武蔵野一帯で始められるようになったのは江戸時代中期~後期ごろである。

大消費地江戸を抱えた一帯では次第にウド栽培が盛んになり、昭和30年後半~50年にかけて一大隆盛期を迎えた。

「長い間、東京が日本一の生産量を誇っていましたが、現在では栃木にトップの地位を奪われてしまいました」と残念そうに語る東京うど生産組合連合会会長須崎雅義さん(58)。

生産者の高齢化と都市化による農地の減少から次第に栽培者は減少し、かつて一〇〇人もいた栽培者が、現在では三二~三三人に激減している。

ウドは、実生ではなく株分けで栽培される。4月下旬ごろになると施肥、消毒で徹底して土作りをした畑に、種株を植え付ける作業が始まる。

「長い栽培歴を誇っている東京ウドですが、どうしても連作障害を起こしやすく、品質の維持とコスト軽減のため、二十余年前から群馬県の準高冷地で種株の委託栽培をしています」

関東地方での一般的栽培法は、四m近い深さの縦穴の室にウドの根株を伏せ込み、地中の約二〇度Cの変わらぬ温度を利用した、周年軟化栽培法。

畑に移植した根株は、12~2月ごろまで順次掘り起こして室に入れ、発芽から約四〇日で収穫となる。

また根株を冷蔵保存して生長を止め、5月中・下旬ころから発芽させることも可能となり、現在では周年出荷体制をとっている。

「子供のころから炒め物や味噌汁の実として食べていましたが、なんといってもシャキシャキ感ある天ぷらが一番ですね」と顔をほころばす須崎さん。

東京の特産品として、贈答面では大きな伸びをみせている東京ウド。地元消費者にも、一人でも多くの人に知ってもらおうと直売所への出荷を試みたが、「大きいサイズに難があるのか、手ごたえは今ひとつ」という結果。今後、さらに市場出荷のほか贈答などの直販、業務用市場への販路拡大を画策する。

あく抜きの必要ないくらい透明感ある純白の東京ウド。産地の立川市では、地元の特産品にしようと二十数種の商品を発売した。

ワイン、焼酎のほか、菓子店とタイアップしてのウドパイ、ウド煎餅など。また中華組合とのタイアップでウドラーメンも登場した。

ウドラーメンをメニュー化し、話題を呼んでいるのが中国料理「五十番」(立川市錦町、電話042・522・7472)。

「素材が新鮮でやさしい味がするのであく抜きの必要がなく、ラーメンばかりでなく料理にと幅広く使っています」という高橋粂店主。

使い方のコツは、皮をむき、塩もみしてから冷蔵庫で保存。これに片栗粉をまぶして料理をすれば、ウド独特の食感が長く保てるという。

「昔からウドの根は、痛め止め効果があることで知られています。この自然のパワーあふれる素晴らしい健康野菜を、料理にも活用して欲しい」とアピールする。

■生産者=須崎雅義(東京都立川市幸町五‐二七‐一、電話042・536・0087、FAXも同じ)

■販売者=立川市うど生産組合(東京都立川市幸町五‐二七‐一、電話042・536・0087、FAXも同じ)

■価格=一箱四キログラム(太いもので五本くらい、細くて七~八本入り)で、季節により変わるが、平均二〇〇〇~三〇〇〇円。送料別。

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