飲食トレンド:手軽に楽しく、スペインのおつまみ「ピンチョス」人気が急上昇!

2002.09.02 259号 1面

スペイン・バスク地方伝統のおつまみ「ピンチョス」。もともとは「串」あるいは「楊枝」という意味だ。一口大のオリーブ、生ハム(ハモン・セラー)、魚介類などを、パンと一緒に串刺しにしたもので、スペインのバール(BAR)で提供される。オリジナル性にあふれ、焼き物、揚げ物、マリネなど、その調理方法はさまざまである。手軽でいろいろな種類を楽しめるとあって、昨今、女性客を中心に大ブレーク中だ。

手軽なフィンガーフードとして人気のピンチョス。本場、スペインのバスク地方では、何百年も前から受け継がれたアルコールのおつまみで、元来、パンの上に豚肉やチーズを乗せただけの「簡単で塩辛いもの」だった。それが第二次大戦後、大衆食として外食のバールに浸透し、生ハム、キャビアなどの高級素材も使われるようになったという。とりわけバスク地方は、新鮮な魚介類や有名な生ハムが豊富で、競うようにピンチョスのオリジナリティーが育まれてきた。提供(調理)スタイルもさまざまである。

バラエティー豊かなピンチョスは、スペイン国内でも「食事」としての認識を新たにしている。昨今は専門店が相次ぎ登場し、ランチ、間食、ディナーにと、老若男女問わずファン層を広げている。

このピンチョス・ブームの先べんが、東京・内幸町の「ピンチョス・ベポ」である。今年に入り、都内のダイニングバーなどでピンチョスをラインアップする動きが目立っているが、その手本ともいえる専門店だ。

この店は、スペイン料理専門店として五年前に開業。以降、「パンプローナ」「エル・パティ・デ・バラオナ」と屋号変更し、昨年5月にピンチョス専門店にリニューアルした。

オーナーのホセ・バラオナ(36)さんは、

「焼き鳥、串揚げ、おでん……、伝統的な日本食にも手で食べるものがたくさんある。懐石料理のように、ちょっとずつ、たくさん食べたいという好みもある。スペインと日本は食文化のベースが似ているから、ピンチョスは受け入れられると確信していました」と分析する。

「スペインというとフラメンコみたいに古典的イメージが強い。食でもパエリアばかりがスペイン料理だと思われている。偏見を払拭し現代のスペインを伝えるために、ピンチョスは欠かせません。料理の質を落とさず、FF感覚のフィンガーフードに仕立てることをポイントに、自分なりの新しいピンチョスを考案しました」という。

この試みが脚光を浴び、他業態でもメニュー開発が進められているのである。

(2~3面に関連記事)

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