今年注目の店:世界企業を目指すゼンショーに注目 林原安徳氏

2003.01.15 264号 10面

注目しているのはゼンショーだ。最近の活発なM&Aを見ていると、小川社長は外食産業全体のリストラを本気でやろうとしているようだ。

まずココスを買収。ココスは、カスミの傘下にあったころに比べて風通しもよくなり、社内に活力が生まれてきた。さらにカーサも買収し、いまココスに転換中だが、「買収される気持ちが分かる企業同士」、あつれきなくソフトランディングさせることに成功した。

それが昨年11月に今度は三洋電機の子会社ヤマトフーズに資本参加し、筆頭株主になった。ヤマトフーズはモスやミスタードーナッツのメガフランチャイジーでも知られるが、近年は自社開発のうどん和食レストランを二八店舗ほど展開し、地元の中高年の人気を集め繁盛している。

ゼンショーは、かねて「世界一の外食企業をつくろう」と宣言してきた。買収劇は、世界戦略に向けた布石ではないかと思う。第一ステージは上場だった。そして買収で業態を三つ獲得した。

次は居酒屋を狙うだろう。

世界企業とは、必ずしも海外に出店することではない。自国の食事情、味覚をきちんと抑えることができて、はじめてグローバル企業への第一歩となる。

吉野家時代から小川社長は、食に携わる企業としての危機感があった。「食の再編」に向け、いつか変革の大ナタを振るおうと、今はひとつひとつ手を打っているのだろう。

◆林原安徳(はやしばら・やすのり) (有)ソルブ代表取締役 昭和31年埼玉県生まれ。東京大学農学部卒。日本マクドナルド(株)入社。出店調査部で高精度売上予測システムの開発に携わる。平成5年に独立。「科学的立地判定・売上予測理論」「売上増大の看板理論」「出店戦略理論」を創出し、多様な業種業態のコンサルティングを手掛ける。

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