めざすは一流MISS料理人:マーケットレストランAGIO府中店大槻由美子さん
東京・伊勢丹府中店九階にある「マーケットレストラン・AGIO(アジオ)府中店」は新鮮な食材を使った料理を落ち着いて楽しめるイタリアンレストランだ。
厨房のなかで腕を振るっているのは昭和49年生まれの大槻由美子さん。この道に入り一〇年、ピザを焼きパスタソースを仕上げる腕前はすでにベテランの域に達しているように見える。
最近はストーブを担当するのが楽しい。
パスタをゆで、ソースの仕上がりを考えながらその日のトマトの酸味と自分の五感で味のバランスをとる。イメージどおり完成したときには、皿の上のパスタ全体が美しく輝いて見えるという。
「毎日ベストを尽くしても、本当に満足できる出来栄えの料理を作れるのは一日に何回かしかありません。料理の勉強には終わりがありませんね」
自分の仕事に対して厳しい職人気質は父親譲り。
彼女のお父さんは、現役のすし職人。中学卒業後に上京し、住み込みですし職人の仕事について以来、その道一筋に働いてこられた。彼女にとってお父さんは大先輩、娘であることが誇りだ。
料理の道に進んだのも「父のようにおいしい料理を作れる料理人になりたかった」から。
同じすし職人を目指そうと考えたが、女性には難しいと説得され、代わりに調理からデザートまで幅広く仕事を覚えられるイタリアンを選んだ。
「父は最初、料理の仕事は女には大変だからと反対していたんです。でも最近はよく一〇年も続けられたなぁとほめてくれるようになりました」
仕事がつらいと思ったことがないわけではない。そんな時は、積極的に有名シェフの講習会に参加することで乗り切った。
「一流と呼ばれる人の仕事を見ると、自分の未熟さを痛感して、頑張ろうという気がおきるんです」
大槻さんの将来の夢は、AGIOを経営する三笠会館初の女性シェフになること。そして家庭を持っても、仕事を続けられるように自分の店を開きたいと考えている。
人一倍料理に情熱を燃やす彼女が夢をかなえるのは間違いなさそうだ。
◆「マーケットレストラン・AGIO府中店」(東京都府中市宮町一‐四一‐二、伊勢丹府中店九階、電話042・351・9135)
◆プロフィル
おおつき・ゆみこ=昭和49年東京都八王子市生まれ。館高校卒業。両親と姉がいる。趣味はボディボード。どんなに忙しくても時間をみつけては図書館に行き料理関係の本を読む勉強家である。血液型はB型。
◆料理人を目指す女性の後輩へ
どんなに料理が好きな人でも、仕事となるとつらいときがあります。たとえ何か失敗してもクヨクヨしないことです。失敗を引きずっているとまた失敗につながります。失敗したことは忘れず、いさぎよく次に進むことが大切です。
◆上司からひと言 料理長・石田喜六さん
彼女は料理に対して大変意欲的なうえ、少々のことではへこたれない強さもあります。これからが楽しみな人材です。料理は基本が大切です。何年仕事をしても、いつでも基本に忠実に仕事をすることを忘れないで欲しいですね。彼女が夢をかなえるのにも、それが一番の早道だと思います。
◆いちおし食材 エンリコセサリー社のオリーブオイル
(株)三笠会館が直輸入しているオリーブオイルです。クセがない味でフレッシュ感があるのが魅力です。ほんの一振りするだけで料理に清涼感がでます。
当店ではスープやマリネ、ピザや野菜グリルなどに幅広く使っています。自然の恵みの新鮮な味を生かしたAGIOの料理には欠かせないオイルです。
◆問い合わせ=(株)三笠会館(東京都中央区、電話03・3289・5654)