名古屋版・話題の店:豪華に優雅に「e oriental banquet」
「デザイナーズレストラン」に「創作料理」。そんなキーワードが一世を風びしたが、これも世の常。トレンドはトレンドでしかなく、もはや新しいイメージは消え失せた。しかしその中で飲食店を居心地のよい癒しのスペースとすることや、野菜創作メニューを定着させたようだ。飽きっぽい消費者の目新しいものへのニーズは、さらに速度を増すが、そんな時代に経営者は何を考え、どのように行動すべきか。「我楽多文庫」を中心に新業態店を展開中の(株)創研(長谷川研二社長)では、新しい試みとして二三〇坪の大型店舗「e oriental banquet」をオープンした。ここでは、その後の状況と将来性を長谷川研二社長に聞いた。
癒し系の店舗デザインが主流だが、そんな中で宿泊施設のないニューヨークスタイルプチホテルのコンセプトでつくったのがこの店。外観は地味だが店内に入ると大変豪華な店舗づくりを行った。
二三〇坪の大型店で、この不況に反しているかと思われるが、当社創業以来の流れの中で、新しいカタチとして生み出すことのできる一つのステップだ。
店舗デザインは神谷氏、グラフィックデザインはゼットンの稲本社長、音楽はマルコと、ネームバリューのあるそうそうたる顔ぶれが協力してくれた。
この店に来たら非日常空間に滞在するお客様はスターであり、そのためにスタッフ一同心を込めて努力する。おしゃれなスペースを提供し、一流のサービスとかっこいい料理をプロデュースすることが大切だ。
「e oriental banquet」は利用目的に応じた八つの空間から成り立っている。一階には(1)高級感のある食事をするディナーレストラン(2)優雅な時間がすごせるニューヨーク風ラウンジ(3)バー(4)シガールーム(5)カップルのためのラブシート。さらに二階に上がると(6)最大二〇〇人まで可能な巨大スペースを持つパーティールーム(7)鮨バー(8)オープンスタイルのレストランがある。ダイニングや鮨バーで食事した後、バーやラブシートなどで食後のひとときが楽しめる。
いったん店に入ればいくつもの楽しみ方ができ、長い夜を演出できるというわけだ。
しかし、そんな幾通りもの遊び方をよりよく知ってもらうためにスタッフはお客様に提案し、導く必要があると思う。
最近では一ヵ月に七、八回の需要があるウエディング利用。レストランウエディングやハウスウエディングが人気の今、ホテルなどと比べて人気が高いのは、レストランやハウス丸ごとウエディングの演出をすることができる点。披露宴会場以外に利用する新郎新婦の待合室やお客様のウエーティングバーが、無機的ではなくロマンチックな雰囲気をかもし出しているというのも好まれるようだ。
オープン当初金山は立地的には好条件ではなかったが、徐々にダイニングバーが増えはじめ相乗効果となって金山に集客しはじめた。金山総合駅の完成で、さらに人が集まるエリアになることは間違いない。現在はまだ予定したほどの売上げには至っていないが、将来に大きな期待をかけている。
景気のいかんにかかわらず、企業を守り社員を守るのが私のつとめ。もっといろいろと展開したい業態はたくさんあるけれど、今は売上げ至上ではなく自己資本をきちんとつくり、後継者に託す会社のベースをつくる「固める」時期だと思っている。このことを原則に新たな道に向かって進んでいく。
ほんものの飲食店経営とはほんものの店を運営しほんものの客を大切にすることだと思っている。
◆「e oriental banquet」(名古屋市中区金山四‐一‐七、電話052・324・0010)