職場給食はいま 転換期迎えた給食業界、迫られる質的変革

1993.05.17 28号 12面

コントラクトフードサービス(職場給食)は、インテリジェントオフィスビルなどの林立によって、かつての職域内での給食というよりか、むしろ、一般飲食店に近い形に変ってきた。つまり、ビルの中に、いろいろな企業が入り込んでおり、何千人という人がそこで働いている。給食メーカーは、ビル管理会社と契約し、ビルが建設される前にすでに、どのような形態の店舗にするか十分に話し合い、設計の段階から参加するケースが多い。

この場合、家賃契約をする場合もあり、一般レストランの価格とあまりかわらないケースが出てくる。あとは福利厚生費として企業がどこまで負担してくれるかということになる。

給食業者は「一企業との契約の場合、食材の経費などもいろいろ注文されるので、むしろ家賃契約で一般レストランと変らない方が食材を仕入れるのにも気を使うことがないので、思いきったメニュー構成ができる」と語っている。

こういう意味から、いま給食業界は転換期を迎えつつある。

食生活の向上や食文化の変化に伴い、給食も従来の空腹を膨らますための、安い食事の大量提供から、いい雰囲気のなかで、おいしい食事を楽しむといった質的変革を迫られるような、飽食の時代の給食ニーズが最近は、大きな要素となっている。

特に自社ビルを所有する大手上場企業や、続々と建設されるインテリジェントビルなどでは、そのビル自体の付加価値を高める重要な戦略として、コントラクトフードサービスを捉えているという見方もできる。

一方、給食業者から見れば、土地確保のわずらわしさや設備投資の必要がなく、契約で食事が約束される魅力あるビジネスとして多くの企業が本格参入している。具体的にみてみると、小売業やレストラン経営で消費者と直接接している大手流通系外食産業(セゾングループの西洋フードシステムズ、ダイエー系のキャプテンクック、イトーヨーカドーグループのファミール)は、グループ全体の情報力や企画力において、既存の給食企業などと比べると格段の力を持っている。また、グループによる共同仕入れや、共同配送など大企業グループならではの支援体制、商品開発力などを生かすのが狙いといえる。このため、給食受注競争では、専門メーカー(給食業者)がかなり激しい競争を行なっている。では、流通系外食産業三社の現況をみてみることにする。

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