この一品が客を呼ぶ中華料理編・札幌:「中国料理 布袋」麻婆麺
札幌市の中心街、オフィスビルが立ち並ぶ電車通りに建つ「中国料理 布袋」は、リーズナブルな価格帯で本格的な中華料理を食べられる大衆中華料理店。麻婆麺は、麻婆豆腐を醤油ラーメンにのせたもの。この、ありそうでなかったオリジナルの一品は、まかないから生まれたメニューだという。
一日中客足は絶えないが、ランチタイムと夜は特ににぎやか。テーブルからは客のオーダーする声が相次ぎ、カウンターに面したキッチンからは、威勢のいいかけ声や調理の音が響く。
この活気あふれる店内で腕をふるう佐藤勲店主は、この道四〇年のベテラン料理人。「うちの料理は特別なことは何もしていません。どれもオーソドックスな作り方です」と話すが、豆板醤や点心類は自家製にするなど、随所にこだわりが感じられる。
そんな佐藤さんがある時、麻婆豆腐を醤油ラーメンにのせて食べたら思いのほかおいしかった、というのが、今や大人気メニューである「麻婆麺」の誕生秘話だ。
この店の麻婆豆腐はサンショウを使わず、長ネギのかわりに大量のニラを使っているのが特徴。豆腐は一人前約1/3丁とボリューム満点。
豚ひき肉やニラ、豆板醤のうまみがコクを生み、ジワジワとした辛さは後になってのどを刺激する。幾層にも重なった深い味わいは、あっさり系醤油ラーメンと相性がいい。
まかないで試した後、実際に商品化するまでに、三ヵ月はかかったという。
「麺は通常のゆで時間でゆでると香りが麻婆豆腐に負ける」「豆腐は崩さないと麺と絡まない」‐‐こうした数ある問題を解決するために研究を重ね、その結果、多くの人に愛される味となった。
ちなみにこのマーボ麺、通は小ライスも注文してマーボ丼としても楽しむのだとか。一品で二度おいしい食べ方、ぜひ実践してみて欲しい。
◆中国料理 布袋(札幌市中央区南一西九、電話011・272・4050)営業時間=午前11時~午後10時(土曜は午後9時)日曜定休/席数=一七席/一日食数=約四〇食
◆食材の決め手 スリランカ産の自然塩
「料理の味の決め手は塩」という持論を持つ佐藤さんは、オープン当初からこの塩を使用している。数年前、スリランカ旅行をした時に出合った天然塩で、辛さがなく、甘みを感じられるところが気に入っているという。
仕入れは現地の知人に頼んでいる。佐藤さん自身も塩特定販売業者の資格取得しているため、今後はこの味を広めるために、販売もしたいと考えている。