この一品が客を呼ぶパスタ編・東京:「パスト」トマトとツナとバジルの冷製パスタ

2004.08.02 288号 5面

閑静な住宅街にたたずむイタリア料理店「パスト」。パストとはイタリア語で「食事」の意味。こぢんまりした店内は、昼時ともなればすぐに満席になるほどの盛況ぶり。人気の秘密は、新メニューが次々に登場し、いろいろな種類のパスタを楽しめること。また、あっさりした味つけとリーズナブルな価格設定も大評判。開店して二年半の店主に、その意気込みをうかがってみた。

店主新山俊幸さんは、二〇年以上イタリア料理店に勤務の後、二年半前に独立し、ここ東長崎に店を構えた。

店のコンセプトは「日本人に合うイタリアンを手軽な価格で提供する」こと。気取った店で肩ひじ張って本場の味を食べるのではなく、日本産の身近な野菜を使い、オイルを控えめにして、日本人の口に合うさっぱりしたイタリア料理を楽しんでもらおうと、メニュー構成に工夫を凝らしている。

ランチは、パスタまたは肉料理にサラダ、コーヒー付きで七三〇円という低価格に設定。パスタは週替わりで七種類を用意し、好きなものを選べる。毎朝市場に仕入れに出向く新山さんが、これはという素材を見つけると、それに合った料理を考え、すぐにメニューに取り入れる。

温泉卵を乗せたカルボナーラやゴルゴンゾーラのフィットチーネなど、豊富な経験と新山さんならではの独創性を発揮したメニューばかりだ。

夏場の一番人気は、「トマトとツナとバジルの冷製パスタ」(八二〇円)。暑い時期だけの季節限定メニューだ。直径一・四ミリメートルと細めの麺を使い、ビネガー、オリーブオイル、ニンニクで味つけをし、酸味のきいたさっぱり味に仕上げている。

「夏の暑い時期には酸っぱいものがうれしい」という常連客の声をヒントに、メニューに取り入れたところ、人気を呼ぶことになったそうだ。この絶妙な味わいを食しに、わざわざ遠方から訪れるファンもいるとか。

場所柄、客層は地元に住む人が多い。最初は一人で来ても、次には家族や友人を連れてくるなど、口コミで広がっている。混雑時には入れない客もいるため、もう少し大きい店鋪へ移りたいと、さらなる発展を目指している。

◆パスト(東京都豊島区長崎四‐三四‐一二、電話03・3974・0570)営業時間=午前11時30分~午後2時30分、5時30分~10時/席数=一五席/一日食数=約二〇食

◆食材の決め手 ピュアオイル「モンタベス」 岸浪食品(東京都豊島区)

パスタの風味を左右するオリーブオイル。ひと口にオリーブオイルといっても種類や産地で味も用途も違う。香り高く、前菜やサラダなどに合うバージンオイルに対し、ピュアオイルは火を入れる料理に適している。

パストでは、パスタにはイタリア産のピュアオイル「モンタベス」を使用。このオイルはくせがないため日本人でも食べやすく、品質がしっかりしている上に、値段も安価だという。

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