電化厨房最前線(28)リンガーハット環八通り蒲田店
大手外食チェーン店の電化厨房システムへの取り組みが活発化している。(株)リンガーハットは、同社関連会社リンガーハット開発(株)と東京電力(株)、厨房機器メーカーの(株)フジマックの3社共同で同社オリジナルのIH餃子焼き器を完成。メニュー提供の高速化と品質の安定化の両立に成功している。「環八通り蒲田店」でその使い勝手について聞いた。
リンガーハット環八通り蒲田店ではIH餃子焼き器をレジカウンターの真後ろに設置している。同機は、コンパクトな設計ながら一人前ごとに餃子鍋とIHインバーターが独立しており、計七つの餃子鍋で調理が可能だ。
餃子は、長崎ちゃんぽんや長崎皿うどんと並ぶ人気メニュー。次々と注文が入るが、滞ることなく提供されている。
「IH餃子焼き器なら調理時間が短いうえに、一人分のオーダーごとに順次調理ができます。ガスでは約六分かかっていた提供時間が、今では最短で三分四五秒。ちゃんぽんとほぼ同時に餃子を提供できるのです」とサービス向上効果を話すのは、同社営業部長・山岡雄二さん。
同社の餃子はニンニクの入っていないサッパリとした味と、皮はパリパリ、中身がジュシーな食感が魅力。全国四一四店舗にチルド配送し、各店で調理する。しかし、ガス器具は長年利用しているうちに火力にバラつきがでる。全店で同じ品質のものを提供するのは難しい。
IH餃子焼き器はその点も見事クリアした。
餃子鍋の材質に採用している整磁合金は、一度設定した温度まで上がると、それ以上熱しても温度が上がらないからだ。
「リンガーハットが求める品質に最適な鍋の温度と調理時間を設定することで、どこの店でも理想的な焼き上がりを実現できるのです」と開発に携わったリンガーハット開発(株)特販部兼東日本建設部部長・境一英さん。
電化のもうひとつの魅力は環境改善に効果的なことだ。
「これからは調理場もお客さまに料理を見て楽しんでいただける美しい場になるべきです。また企業としては、 の削減をはじめ環境問題にも取り組む必要がある。そうした実現に電化の果たす役割は大きい」と境さんは強調する。
リンガーハットでは現在、IH餃子焼き器以外にIHレンジを「リンガーハット・エキスプレス」二六店舗で採用。近くオール電化採用店もオープンの予定だ。
◆店舗メモ
「リンガーハット環八通り蒲田店」/所在地=東京都大田区萩中二‐二‐二、電話03・5705・7347/営業時間=午前10時30分~翌朝4時/スタッフ=社員一人、パート五~六人/席数=四八席
◆現場からの声 片山亮嗣店長
IH餃子焼き器は調理時間が短いうえに、お客さま一人ずつの注文に即対応できるのが魅力です。ガスの場合、注文のタイミングによっては、他のお客さま分の調理が終わるまで、お待ちいただかなくてはなりませんでしたが、IHではそうしたことが全くありません。餃子をセットすれば、あとはタイマーが焼きあがりを教えてくれますから、だれでも失敗なく調理できます。
◆「IH餃子焼き器」(株)フジマック
(株)フジマックのIH餃子焼き器の特徴は、次の通り。
(1)一人前ごとに餃子鍋とIHインバーターが独立しているので、注文ごとに調理でき、鍋のままの提供も可能。
(2)調理時間が三~四分と高速である(餃子の種類や保存方法で異なる)。
(3)一人前ごとに必要な最小のエネルギーを使用して調理するので省エネ効果に優れている。
(4)プログラム調理によりだれでもワンタッチ操作だけで均一な品質の料理ができる。
(5)鍋を取り外した本体がフラットなのでメンテナンス性に優れている。
(6)鍋の材質に整磁合金を採用しており、鍋自身が温度を制御。調理に必要な温度以上に鍋の温度が上がることはなく安全で、調理の失敗も防止する。
調理時間や調理温度を高精度でコントロールできるので、調理のマニュアル化が容易なこと、経験の浅いスタッフでも高品質の調理が可能なことなどから、多店舗展開をしているチェーン店から注目されている。現在、鍋数の異なる三機種がある。
▽問い合わせ先=(株)フジマック本社(東京都港区新橋五‐一四‐五、電話03・3434・2209(代))