パソナ、地下菜園オープン 新技術で都市型農業を支援
総合人材サービスを展開する、(株)パソナ(東京都千代田区、電話03・6734・1034)は3月11日、東京本社地下二階に就農支援を行う「PASONAO2」(パソナオーツー)をオープンした。太陽光の届かない地下で植物栽培を行う全く新しい都心の癒やし空間だ。
施設内では稲やトマト、サラダ菜など約一〇~二〇種類の野菜や花、一〇〇種類以上のハーブが栽培されている。ハイテクと地場産業を融合させ、新技術を使った農業が体験できる注目の施設だ。「今後は農業分野での人材派遣やビル内部の田園化も視野に入れ、新しい都市型農業の支援を行っていく」(南部靖之代表取締役社長)意向だ。
同施設では信号機やカラー表示パネルに多く使用されている発光ダイオード(LED)や太陽光に近いメタルハイドランプなどの人工光を利用しての作物栽培を行っている。
LEDは電流を流すと発光する半導体素子の一種で、寿命が長く消費電力が少ないことから植物栽培用の光源としても注目されている。同施設では植物の育成に必要な波長に合わせて赤・青・緑のLEDでの栽培例を展示。植物にとって無駄な波長を含まず、少ない光量で効率的な栽培が可能だ。
海外からの注目度も高く「日照時間の短い北欧や水耕栽培に関心の高い中国などからも見学の要望が入っている」(同)という。
太陽光に比較的近いメタルハイドロランプや高圧ナトリウムランプを使用した稲の栽培も行っている。棚田状の各栽培スペースで生育段階の異なる稲が栽培可能だ。自然の状態に近づけるためにアオコやメダカなども生息させている。稲は植えてから約一ヵ月で幼穂が分化。三~四ヵ月で成熟するため、年三回の収穫ができる。
同社は(株)関東雇用創出機構と共同で二〇〇三年から農業インターンプロジェクトを実施。農業に興味があり、ビジネスとして実践したい若年層・フリーターを対象に秋田県大潟村で研修プログラムを行ってきた。「希望者には農業の研修体験やプログラムの案内を行い、農業における雇用創出に積極的に取組んでいく」(同)という。施設概要は次の通り。
▽場所=東京都千代田区大手町二‐一‐一、大手町野村ビル地下二階▽面積=一〇〇〇平方メートル▽開館時間=平日・土曜、午前11時~午後6時