全自動の炊飯システム 貯米庫から盛り付けまで一貫システムで製品衛生を管理
炊飯は、いまや近代工場といえるほど機械化、システム化が成し遂げられている。
貯米庫から出発して炊飯機に入るまでの時間は、およそ四〇分である。この時間を消費する中心はいうまでもなく浸漬である。
炊飯開始から盛付までの時間は連続炊飯機によって多少異るが、むらし工程を経て盛付までで約一時間強といったところ。総合して二時間である。この工程がすべて自動化されたのである。
厨房システムの中で、炊飯ほど機械化され合理化されたものはない。調理は、それが料理の味と微妙なかかわりを持っているだけに機械化や合理化がむつかしい。ところが、炊飯に関しては、むしろ品質の向上を果たしながら機械化を果たしたのだから、まさにメーカーの研究が実った成果だといえる。全自動化とは〈図〉の工程をすべて一連の作業として自動化しているものを指す。最も高度に自動化されたシステムではボタン一つで全作業を果たしてくれる。
各工程を少しくわしく説明すると次のようである。
〈浸漬工程〉浸漬は二〇~三〇分行うのが一般的だが、浸漬設備としては浸漬タンクを設置する場合と、洗米から直接炊飯缶に計量・充填し、炊飯工程に入るまで、コンベアをゆっくりと流す方法とがある。炊飯施設のスペースや規模によって使い分ける。
〈計量・充填装置〉炊飯缶に一定の米と水(湯)を計量・充填するものだが、炊飯をより効率的に行うために、四〇℃前後の湯を充填するケースも多い。
〈炊飯工程〉いわゆる炊飯システムの中心部である。全自動の連続炊飯機は、炊飯理論をそのまま実践に移したものだ。すなわち、直火と輻射熱を利用しながら、煮る‐蒸す‐炊く、という工程を通し、最後にむらす(うなし工程ともいう)を経て反転へと移行する。
〈ほぐし装置〉単純な機械作業だが、ご飯の品質を保持するために大切な工程である。余分な水分をとばし、ご飯をふっくらと仕上げるのである。熱いご飯を手作業でほぐしていたのでは大変な労力である。
〈弁当箱自動盛付〉弁当業者にとっては、従来、盛付作業が多くの人手を要し、作業効率を極端に悪化させていた。ところが現在では各種の製品がいろいろなメーカーから発表されている。
〈自動計量装置〉一般の弁当業者では、この装置をほとんど必要としないが、学校給食などでは多くは五〇人分といったまとまった計量を必要とする(保温容器に入れて配送し、各学校で盛付ける)。