すかいらーく、MBO選択 抜本改革で再生図る

2006.07.03 316号 6面

(株)すかいらーく(東京都武蔵野市、電話0422・51・8111)は6月8日、臨時取締役会で横川竟会長兼最高経営責任者(CEO)ら創業一族経営陣が、特別目的会社SPCの代行であるSNCインベストメント(株)によるすかいらーく株式対象の公開買い付けに賛同し、応募を勧めることを決議した、と発表した。横川氏は今年3月に経営に復帰、創業者の一人として失速したすかいらーくの抜本的改革に着手していたが、赤字というリスクを伴って5万人の株主の価値観を尊重できないとして、MBO(経営陣による企業買収)を決断した。6月9日から公開買い付けを開始、66・7%以上の株式を取得して成立すると9月に上場廃止、07年1月にSNCとすかいらーくが合併して新生すかいらーくが誕生する。

公開買い付けは6月9日から7月10日までの32日間、発行株式の3分の2である7247万株強以上の取得を目指して1株当たり2500円で買い付ける。買い付け価格は直近6ヵ月の平均株価よりも27・4%上回り、ここ数年来の高値水準。自己株式を除いた全株式取得を目的としており、買い付けに要する資金は3分の2の場合の1812億円から応募株券の最大見積額は2719億円。SPCには野村プリンシパル・ファイナンス(NPF)、英投資ファンドのCVCキャピタルパートナーズが出資する。

05年末の横川創業4兄弟の持ち株は11%、エス・エイチ・コーポレーション6・7%と続く。MBOの実施により、06年12月期中間配当は中止、株主優遇制度は廃止、期末配当は未定。同社発行の2011年満期のユーロ円建転換社債型新株予約権付き社債の社債要項と信託証書の改定のために社債権者集会を12日にロンドンで行った。

8日、東京都千代田区のKKRホテル東京で行われた記者会見で横川竟会長はMBO実施について「3月31日の経営復帰会見の時には全く考えていなかった」と、この2ヵ月間で浮上した選択肢として「今後30年間ダントツのすかいらーくに再生させるために判断した」「外食文化の新たなる創造」と今回の経緯について語った。

すかいらーくグループは、創業以来36年間で全国4400店、年間延べ5億人以上が来店する国内最大のレストランチェーンを築いた。しかし消費者ニーズは多様化し、同グループ30強の業態でも対応し切れなくなってきた。今後は既存の仕組みを破壊して、100円~1万円のレンジに対応するメニューやサービスの開発、業種・業態を組み合わせた二次元・三次元化で事業領域の拡大を図る。

組織力強化のために経営陣と従業員の一体化と経営意識の共有を図って改革を断行するため、従業員からの出資も検討してMEBO(マネジメント・エンプロイー・バイアウト)で新たな挑戦をする。5~10年間株式非公開で改革を行い、その結果によって再上場を検討する。

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