外食・中食…業際なき時代に すかいらーく/ロック・フィールド
外食と中食の垣根が低くなったといわれて久しいが、実業ではすでに業際なき時代に突入しており、内食(家庭の食事)も含めてフードサービスの新たな波が押し寄せてきている。専修大学商学部助教授・見目洋子氏は「生産農家と連携し、農産品素材の調達から再考するヨーロッパ型“食・農ビジネス”という概念を想定している」と新たな動きを分析する。外食、中食でフードサービスをけん引する横川竟(株)すかいらーくCEO、岩田弘三(株)ロック・フィールド社長に、標ぼうするフードサービスビジネスモデルについて語ってもらった。
◆すかいらーく 横川竟CEO
すかいらーくは、全国に12ヵ所のマーチャンダイジングセンター(MDC)があり、沖縄を除く全国各地の店舗に、店からオーダーを受けたら8~24時間以内に配送できるシステムを持っています。
目指すのはバーチカルマーチャンダイジングシステムの構築です。垂直に、いかに短くして産地と直結していくか。私がやりたいのは、無添加食品販売ビジネスです。
現在、すかいらーくは、たまたまファミリーレストラン(FR)という形の販売手法をとっていますが、そもそもは食で困ったことをサポートしようという発想です。ですから、食事でも単品でも届けます。原料が希望であれば、今晩作りたい料理の素材を人数分カットし、加熱調理直前まで加工してレシピとともに届けます。そんなことをしたいんです。
具体的にはまだ何もありません。ただ、日本の多くの食品流通は生産者、運送者、下処理メーカーなど人の手を経るごとに多くのマージンを支払い、それを消費者に転嫁するという複雑な仕組みになっています。こうした、あしき仕組みを破れるのは製・販を持つ外食・中食だけです。
畑から直接工場に運んで自社仕様で過度な添加物なしで安全でおいしく値ごろ感をもって提供する。しようと思えばいつからでもできるフォーマットは、すでにあります。
◆ロック・フィールド 岩田弘三社長
現在の40%強の食の外部化率は、近年中に55%くらいまでは進むと見ています。それは、必ずしも中食が伸びるというのではなく、内食(家庭内の食事)のパターンが今以上に変わるということです。
作らないという時代背景もさることながら、「いかに家で楽しむべきか」というヨーロッパ型の家庭の食卓が絶対的に復活します。その時に大根を丸ごと買うのか、魚を1尾買うのかといったら、それはあり得ない。
デリバリー、ケータリングが洗練されていくんだと思います。そういう意味では、外食、中食、内食の在り方も大きく変わっていくと思います。
ロック・フィールドも惣菜で内食の手伝いをするのか、デリバリー屋になるのか、外食に対して食品を提供していくのか、私は今の延長線上を続けたいとは全く思っていません。
株式を非公開にして話題になったワールドの寺井社長とは親交があるのですが、彼はファッションをアパレルだけと見ていません。生活文化という中で、家具も雑貨も洋服もその中の一つ。それらが複合したものになるだろうし、スペシャリティーになるだろうという考え方です。
今われわれは、時代に創業的精神から今日的な新しい価値観に変えるという英断を求められていると感じています。