メニュートレンド:業界初、団塊世代を対象に「上野黒門 しのばず屋別邸」

2007.05.07 328号 2面

これまで外食業界では、若者やファミリーをターゲットとした店づくりを多く行ってきた。だが、戦後のベビーブームに生まれた団塊世代が「シニア」と呼ばれる年代を迎えるにあたり、今後、これらの層を対象とした業種業態への需要が増えることは間違いない。

去る2月1日にオープンした「上野黒門 しのばず屋別邸」は、業界初の団塊世代向け複合飲食施設として注目を集めている。

「上野不忍池近くの黒門町に人知れずたたずむ料理旅館があった……」というストーリー性を持ってオープンした「上野黒門しのばず屋別邸」は4つの店舗から構成される複合飲食施設。団塊世代向けと打ち出しつつも、大人が楽しめる店舗として20~60代という幅広い客層が対象だ。

老舗の旅館をイメージした「京個室辻が花」は、エントランスには手押しポンプを配してノスタルジックな雰囲気を醸し出している。お客は番頭、あるいは女将に迎えられ、「唐錦」「桜里」など椿の種類の名の付く部屋へと案内される。客席は15席からなり、庭を眺めながら食事を楽しめる。

料理は「はしり割烹」として、市場に出回りはじめたばかりの旬の「はしり」の食材も用意した本格割烹。昼は「麦とろ御膳」「麦とろ会席」など、福島県産の山芋を使った麦とろとの組み合わせが人気で、夜はせいろ蒸しや水炊き、しゃぶしゃぶなどのコースが5000円からある。

「お茶屋BAR逢瀬の刻」は、京都のお茶屋をイメージした大人の雰囲気漂うバー。カウンターの中では、和服姿の女性バーテンダーがシェーカーを振る。厳選した10種類の銘茶(600円~)や、この銘茶を使ったカクテルなども楽しめる。

同店では「辻が花」での食事を済ませたあとの利用を想定しているため、料理メニューはカラスミや酒盗といった珍味、酒のさかなが主であり、締めの食事として銘茶を使った8種類のお茶漬けもある。

「自然食ビュッフェ 大地の贈り物」は農家をイメージした店づくりで、かまどとお釜を模したビュッフェ台の上には常時90種類以上のメニューが並ぶ。全国各地の契約農家から取り寄せた新鮮野菜を中心に、生産者の顔が見える厳選した食材を使い、「体にもココロ」にも優しい料理構成だ。

昨今、自然食ビュッフェレストランが急増する中での出店とあって、他店との差別化のひとつとして同店では、フードコーディネーターの資格を持つ“健康コンシェルジュ”がメニューについての相談に乗ってくれる。

また、ドリンク類も健康コンシェルジュが選んだ梅酒100種のほか、有機栽培のコーヒー、酢を使ったスカッシュやカクテルなど、こちらも美と健康を意識。

「炉端焼 鬼吉」の店内に足を踏み入れるとまず目に入るのが、鬼のオブジェ。この鬼が「食材が最もおいしく焼けた絶妙なタイミングを見張っている」という設定だ。

伊万里牛をはじめとした肉、魚介、野菜など、カウンターに並んだ旬の上質な食材を、お客の目の前で炭火を使って焼き上げ、大きなしゃもじで提供する正統派炉端焼きスタイルが、団塊世代、中でも特に男性客からの支持が高く、4店舗のうち最も人気がある。

◆店舗概要

「上野黒門 しのばず屋別邸」/経営=(株)ダイヤモンドダイニング/店舗所在地=東京都台東区上野1─20─11 鈴乃屋ビル4階/開業=2007年2月

「京個室 辻が先」/営業時間=午前11時~午後4時、5時~11時/坪数・席数=72坪・163席/客単価=昼2000円、夜8000円

「お茶屋BAR 逢瀬の刻~おうせのとき~」/営業時間=午後5時~11時、/坪数・席数=9坪・20席/客単価=2000円

「自然色ビュッフェ 大地の贈り物」/営業時間=午前11時~午後5時、5時~11時、日祝日~10時/坪数・席数=86坪・207席/客単価=昼1800円、夜3600円

「炉端焼 鬼吉」/営業時間=午後5時~11時/坪数・席数=20坪・51席/客単価=7500円

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