ヒットメニュー列伝 近代メニューに名を残す逸品(46)フリッツ 和風オムライス

2007.06.04 329号 3面

オムライスは洋食レストランの定番中の定番。インターネットのB級グルメ系のサイトやブログで、すさまじい盛り上がりを見せる料理のひとつでもあります。それはひとえに日本人の卵好き、しかもふんわり、とろーり系卵料理が大好きという国民性を表しているような気がします。

「あのお店はオムライスがおいしいよ……」というのは、なかなかよい口コミ効果を生む。誰もが知っていて、気軽に食べることができる料理で差別化する。繁盛店を作るのにとても賢いアイデアで、だからいろいろなお店が自店ならではのオムライス作りを行っている。

中でも「素晴らしいアイデアだなぁ……」と思うのが、東京は赤坂、豚カツのおいしい洋食レストラン「フリッツ」の和風オムライス。

まず、ご飯の部分が感動的。季節の炊き込みご飯風味のピラフを使って、それを卵でクルンと包む。そのくるんだ卵がまるでだし巻きみたいに、ふんわりとした風合いで、限りなく和食寄りの洋食料理。

しかも、オムライス全体に、水溶き片栗粉でとろみを付けた、だしあんがトロンとかかっている。冷めない工夫でもあり、味をまとめる工夫でもあり、口の中で卵のフンワリ感をより引き立てる役割も果たしている。

ちょっと油で香ばしさを出した炊き込みピラフとともに、茶碗蒸しを口に含んで一緒に食べている。そんな感覚。

それ単独で食べてもおいしいけれど、見せ所は、「コース料理の最後にどうぞ」という提案。洋食料理の強めの味わいを、最後のこれでさっぱり、すっきりと引き締めてくれる、まさに独特でオリジナル。

「こんなオムライスもたまにはいいね」という感じであります。

((株)OGMコンサルティング代表取締役社長・榊真一郎)

◆「洋食とんかつ フリッツ」(東京都千代田区永田町2─13─10 プルデンシャルタワー1F、電話03・3500・3755)

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