喫茶特集 店の魅力・メニューの魅力 「凡」弐番舘

1993.11.01 39号 12面

「焙りたての珈琲豆と世界有数の碗皿コレクションで茶を楽しむ喫茶店」がコンセプトの自家焙煎珈琲「凡」。同店の珈琲は毎日、その日使用する分だけの豆を焙煎し、一粒ずつ選別した新鮮で良い豆だけを通常より荒くひき、一人前二五㌘(通常一二~一五㌘)使用する。

また、カウンターに座った客は古伊万里を今に伝承する数少ない有田の窯、先代六代目館林源右衛門などのコレクションから好きな碗皿を選ぶことができる。好きな人にはため息が出そうなくらい贅沢なことである。

「父が料亭をやっていましたが、使用人に気を使う商売に疲れ、オイルショックの頃家族で珈琲店を始めました。名字が平なので、店名は〈凡〉にして、平凡な店をと命名したんです」とマスターの平勝哉氏はたんたんと語るが、いやはや、どう見ても凡は凡でも「非凡」な空間を演出している店である。

メニューはぶれんど九九五円、他ドリンク類五種に珈琲ぜりいとケーキで一〇本の指があまる。価格は全て五円の端数をつけ、また御縁があるようにと五円のおつりを渡すのだという。二〇坪、六五席で多い日には四〇〇人からが来店する。モーニングやランチのたぐいは全くない。アルコールは置かないのですかと尋ねると「お客様とはカルチャーな部分で楽しみたい」とあくまでも珈琲店の王道をゆく。同店は日本唯一の会員制喫茶店「凡参番館」も運営している。

▽住所‐新宿区新宿三‐二三‐一

▽TEL‐03・3341・0179

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