食品メーカー開発奮闘記(13) 京浜貿易、質の良い台湾メンマ供給
ラーメンの具材として欠かせないのがメンマ(乾筍)。日本で加工し販売されている。そのメンマは大部分が台湾産。そして、業務用加工メンマのトップメーカーなのが京浜貿易㈱。
同社は、創業者の山岸俊夫氏(現社長)が昭和30年代に横浜市緑区でメンマ加工業としてスタート。以後、原料の確保では台湾で現地の農民と一体となって品質の良いメンマ作りに尽力したほか、国内の生産面(供給)では、昭和60年に横浜・金沢区の工業団地内に加工工場(本社‐横浜工場)を新設し対応してきた。その後、外食市場の拡大、発展などから昭和63年には新潟県白根市大字戸頭字土谷内七五一‐一に土地購入費を含めて約五億円を投じ新たに新工場を竣工させるなど、着々とその強化にも努めてきた。
主な製造品目は▽味付メンマ缶詰一号缶、日産三六〇〇缶▽小袋詰水煮メンマ、同一万二〇〇〇袋▽塩メンマ・業務用二㎏詰、同五〇〇ケース▽そのほか筍スライス、ストリップ、ダイスなど。
業務用の塩メンマ、味付メンマでは全国約一〇〇〇軒の業務用専門問屋を通してラーメン店、食堂、給食センターなどに販売している。
バブル崩壊後の景気低迷が長期化する中での外食市場は、高級店、ホテル、ゴルフ場はもとよりファーストフード、ファミリーレストランに至るまで、各飲食店(企業)は軒並み売上げ不振に陥り厳しい状況が続いているが、これに対してメンマが使われている主力ユーザーのラーメン店などは客足も順調で、メンマそのものの需要にも大きな変化はない。(日本での年間メンマ総消費量は約四万袋‐一袋六〇㎏)
台湾におけるメンマの生産工程は毎年7~9月で、産地ではタケノコを刈り取って皮をはぎ、硬い部分の節を切り捨てて直ちにボイル。これを特製の竹カゴに収め自然発酵させその後乾燥。これを切断、出荷させるといったもの。これが日本に輸入され、八〇%は塩メンマ、味付メンマとして業務用で消費されている。
商品開発面も含めた今後の動向について同社では、塩メンマ、味付メンマといった業務用向け商品については、商品開発というよりもまずはメニュー提案を行っていく。そして原料高、製品高で一部業界にくずが多い粗悪品が出回り市場の混乱、ユーザー不振で消費減退を来すといった悪循環を一掃、良品で市場の安定、消費拡大が最重要との観点からも、規格品の厳守、徹底(塩メンマ二㎏製品最低基準を固形量一・四㎏、塩分〇・六㎏)に全力を挙げたいとしている。
業務用については国内の大手加工業者一二~一三社でシェア約七〇%を占めていると見られる中にあって、数年前からはタイ国のSBCと提携、合弁で現地に筍(麻竹缶)の生産拠点も設けるなど、原料から製品まで一貫した供給体制で臨んでいるだけに、他の商品開発面でもかかる期待は大きい。
《会社メモ》 ▽京浜貿易㈱
▽本社‐横浜市金沢区福浦二‐一‐一 ℡045・785・0010
▽代表者‐山岸俊夫
▽主要業務用商品‐塩メンマ、味付メンマ、水煮メンマ、麻竹缶詰など