食品メーカー開発奮闘記(16)理研ビタミンの画期的「乾燥わかめ」

1993.12.20 42号 23面

カール状の乾燥カットわかめ「ふえるわかめ・花ざいく」で七〇%以上のシェアをもっているのが、理研ビタミン㈱である。

業務用食品(商品)は、一般的には末端の各外食店で使用される場合、メニューとして登場(提供)するものの、商品そのもの、素材としては表にでてこないという独特の構造があるために、ヒット商品が育ちにくいという“体質”があるが、この面では同製品は画期的な商品。

同社が、いわゆる「乾燥わかめ」の商品開発に取り組んだのは昭和40年代。当時はワカメを乾燥した後切断、「乾燥カットわかめ」として主にインスタント味噌汁の具などの加工食品向けに生産したもので、量的にも少なかった。

こうした中で、同社では何とかこの「乾燥カットわかめ」の大量生産、販売が出来ないものかと研究し、その結果野菜類などとは違い、海藻類、特にワカメは熱風乾燥法(FD‐フリーズドライ製法ではない)でも十分生に近い状態に戻り、しかもまた品質もあまり変わらないという面に着目、回転乾燥法による大量生産方式を確立した。

一方、こうした中で商品はすべてに共通することだが、誕生させた後でこれをいかに育てていくかということについては、同社としても大きな苦労と努力を重ねている。

水にもどすだけで新鮮な生ワカメの持ち味が保たれる(簡便性と品質)。さらに価格が一定であり、保存性に優れている‐‐などの素晴らしい商品特徴があるものの、いかんせん、外食市場、末端の料飲食店での認知度がないということから、流通については当初から外食専門問屋の力を活用するとともに、社内にも販促のプロジェクトチームを結成、首都圏のそば、うどん、ラーメン店、さらには各飲食業組合などを中心に商品の紹介、価値、メニュー提案など積極的な努力を続けた。

その結果、それまでは味噌汁などの需要に限られていたワカメが、初めてラーメン(ワカメラーメン)、そば(同)、うどん(同)などにメニューとしてとり入れられるという、いわばワカメの需要拡大における一大エポックとなった。

咋今の食市場は、CVS、デパート、スーパーでの惣菜、テークアウト弁当などいわゆる“中食市場”が大きな成長を遂げているが、これらの動きに対しては同社も新しい対応を迫られている。焼き肉、丼、焼き鳥のたれなどの各種たれ(各二・一㎏ボトル)の商品(開発)はこの分野にターゲットを絞った典型。

また、12月からはエビフライ、イカフライ、コロッケ、ハンバーグといった惣菜のおいしさをアップさせる添付ソースとして、青じそフライ用ソース、フルーティー特製ソース、オニオン風味和風ソース、スペシャルデミソースの理研オリジナルソース四種類(一五㌘小袋入)を新発売した。

これらの新製品は家庭用で大ヒットしたスーパードレッシングタイプ「ノンオイル」の製造技術と、そのノウハウが生かされた商品開発であり、その意味では「花ざいく」に続く大型商品として、育成に期待がかかる。

《会社メモ》 ▽理研ビタミン㈱

▽本社‐東京都千代田区三崎町二‐九‐一八、℡03・5275・5120

▽代表者‐曽根博

▽主要業務用商品‐和・洋・中華調味料、スープ、米飯調味料、海藻類

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