外食産業活性化への提言 南国酒家・宮田了代表取締役

1994.01.03 43号 22面

右上がりの成長で推移してきた外食産業界も、現下の消費低迷で厳しい状況に立たされています。日本の主力産業である自動車、家電もふるわず、人員整理や給与カットというかつて経験しなかった厳しさに見舞われています。

この状況はひょっとすると一過性ではなく、恒常的なことの始まりではないかという気もします。ですから、われわれ外食産業に携わる者としても、先行きともに楽観することなく、シビアに対処していかなくてはならないと思うのです。

これに関しまして私が強く申し上げたいことは、いま業界におきましては価格の安さにとらわれて、「低価格路線」の傾向が強くなってきておりますが、決してそういう生き方ばかりではないということです。

と申しますのは、バブル経済の洗礼を受けた消費者は高価格の料理にも慣れ親しんでおり、やはり対価に見合った質のいい料理とサービスを受けたいと願っている客層も多いわけなんです。

ですから、いくら消費が冷え込んだといっても、安いだけでは客は満足しないのではないかと思うのです。もちろん、フトコロの都合でそういう低価格志向のお客様もおられるでしょうが、一〇〇%そういうお客ばかりではないということです。

したがいまして、私どものこれからの方針としましては、値ごろ感を基本的なポイントにしまして、店の雰囲気、サービスを大切にし、少しでも質的に向上できるよう、地道な努力を積み重ねていきたいと考えている次第です。

また、店舗の出店などにつきましては、たしかに現下におきましては出店コストの軽減で、店舗が出しやすい状況にはありますが、しかし、これからはそれだけでは不十分だということです。

《安いだけでは不十分》 やはり、サービスの水準や料理の内容面などで、消費者に支持されなくては、出店してもよい結果が得られないということです。

とくに、われわれのような業態は常に消費者の厳しい目にさらされていますから、どう消費者にアピールし、満足させられるかが大事な要素になるのです。

したがいまして、出店につきましては、今後の景気動向もみながら検討していきたいと考えておりますが、全体的な問題としましては企業の収益力を高めるために、仕入れ、労務、現場作業などいろんな角度で見直しをおこない、この厳しい不況時代を乗り切っていきたいと考えている次第です。

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