昼食はヒレで 大衆化するステーキ、価格破壊危惧の声も
ステーキ屋らしからぬ立ち食いスタイルで、既存のイメージを一新したのは、(株)サン・チャレンジ(東京都新宿区、03・3358・7423)の手掛ける「ステーキのくいしんぼ・立喰い」。1月に千代田区内神田で一号店をオープンした。以来連日周辺のサラリーマン、OLが、ステーキ(六五〇円、一〇〇g、ライス付)を目当てに行列を作る。先ず発券機で食券を求めて注文。出された生肉をカウンターに設置してあるガスコンロを使って、好みに合わせて焼く。セルフサービスなので焼き具合は自由自在。あつあつの出来たてを即座に食べられるというわけである。
同社のコンセプトは“メニューは料理ではなく商品”。「料理は調理人のこだわりと手間が値段に反映されて高くなるが、本当にそれが消費者の満足度に結びついていない。素材を商品として、安価で気楽に食事できる場所を提供するのが外食の基本ではないか」(佐藤康行会長)。
激安の同店はすかいらーくの新業態「ガスト」の低価格戦略と比較されがちだが、こちらは大衆化を目的とし、バブル絶頂期にすでに発案したこと。「テナント料が高すぎたため安価で提供するには狭いスペースで回転率を上げるしかない」(佐藤氏)と思いたったのだ。
店舗面積はわずか一六坪でカウンター席二二だが開店以来、平均一日の来客数は六〇〇人。多店舗化は様子を見てからとしているが、「回転率が良すぎるので、在庫スペースの拡大と厨房の効率化を図りたい」と嬉しい悲鳴を上げている。また今年中に、これと違った新形態の店を出す計画だ。ステーキの大衆化を牽引する同社の今後が注目されそうだ。
こうした低価格戦略と裏腹に、かたくなに値段据え置きをつらぬく店もある。安易な低価格戦略は価格破壊を招きかねないからだ。かつてFFの三九〇セット戦争の教訓を参考に、同じてつは踏まないということか。
だが低価格戦争へ参戦する意向はなくても、牛肉大衆化の流れには逆らえず、ボリューム感、利便性で対応する店も増えている。「二〇%増量する方針」(ハングリー・タイガー)。「スポットでセールを行う」(シャロン・インターナショナル)。「コースに工夫を」(あさくま)。
こうした展開に対し、静観する既存店からは、「いくら安くても輸入牛は冷凍なので和牛より味は劣る」(万世)。また、低価格ステーキの先駆けの「ステーキのどん」では、「いままでの価格帯がおかしかったのでは」と手厳しい声もある。ともあれ、“ステーキ戦線”はこれまでとひと味違ったホットな展開をみせている。













