堅実に業績伸ばすコーヒー専門店 「珈琲館」炭火コーヒーが大ヒット

1994.03.21 48号 13面

魅力のない店は容赦なく淘汰されている喫茶店業界で着実に売上げを伸ばしている業態がある。マナベ(株)の「珈琲館」と(株)ドトールコーヒーの「カフェ・コロラド」のコーヒー専門チェーン店である。同時期の七〇年と七二年にそれぞれ一号店をオープンして二十余年、派手さはないものの堅実にファンをつかんでいる。売り物で共通点はあくまでも「コーヒー」であり、サンドなどのフード類は添え物であること。感謝デーなど常に客に何かを発信し続けること。堅実さゆえに景気には左右されない。この二チェーンから喫茶店生き残り戦略を学んでみたい。

珈琲館は国内に三七〇店(関東二〇〇、関西一〇〇、他七〇、うちFC三一七)、台湾に二五店展開している。客単価は六〇〇円前後。昨年の夏は、冷夏の影響で売上げが伸び悩んだものの、10月以降2月までは前年をクリアしている。2月は既存店ベースで客数一〇二%、売上げは二五坪店で四〇〇万円、客単価は横ばいであった。「個人店は現状のままであまり動かないが、珈琲館はその時代に合った商売をやっている」(丹羽取締役)。

一号店の七〇年はコーヒー専門店をアピール。そしてサービスの珈琲館を経て、八二年は大ヒットとなった「炭火珈琲」で品質をアピールし、これからは“バリュー”を打ち出しながら「新たなお客様の創造」をしていく。昨年から戦略を客単価から客数増に絞り、現在の客層は三〇~四〇代なので、二〇代をもう少しとり込むことを開始した。まずは値ごろ感とボリューム感を出すため、価格は同じでカップを大きくし、スナック類も量を増やした。3月1日からは実験として直営五三店で「ブレンドNo.3」三〇〇円を新メニューとして導入したばかり。「単価を下げるともう一品追加したり、来店頻度が高くなるので買い上げ率は上がるという。5月にはコーヒーメニュー中心の改正を行う。

品質面では昨年10月からコーヒー豆の使用量を従来の一三gから一五gに増量、たっぷり使ってひきを少し荒くした。また、同社の豆は産地を指定して、焙煎は炭火で行って商品の差別化を図っている。さらに、ネーミングもユニークで、ブラジルは「陰干し珈琲」、ブルマンは「エメラルドマウンテン」、ほかに「目覚まし珈琲」「眠れる珈琲」などがある。

また、フード類がパン製品だけなのはスパゲティの油やカレー類はコーヒーの臭いをダメにするので置いていないからである。

「珈琲屋だからコーヒーを売る」というスタンスは郊外型第一号店をFRロイヤルホストの道路を挟んで、まん前に出店したが、予定の二~三割高い一〇〇〇万円を売上げたことや、渋谷の店でランチタイムの午前11時~午後2時までフードメニューをやめたところ、客数が二倍となって売上げが伸びたなど客から支持されていることが実証されている。

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