米国・外食最新トレンド TEXMEX(テキサスとメキシコ料理の融合)静かなブーム

1992.06.01 5号 9面

アーカンソー州立大学の近くにある「Hugo’s」は学生に大人気のカジュアルレストラン。古いビルの半地下をレストランに改造し、古道具を集めてアンチーク風にしたシンプルなたたずまい。一〇〇席ほどの大きさで、従業員は五人とパートタイマーの学生が働いている。メニューはランチもディナーも変わらない。人気アイテムはこの店のオリジナルであるデレクスペシャルで、アルバイトの学生が考えだしたチキンを使ったハンバーガーのスペシャル料理。この他マリネートしたチキンブレスト、ベトナム風春巻のエッグロール、グラスホッパークレープなど。材料にもこだわりがあり、料理素材は有機農法による手作りのものを指定している。価格はディナーの場合二人で一五㌦といったところ。店の雰囲気以上によい素材を使った料理のおいしさが人気の秘密。

同じアーカンソー州のスプリングデールの田舎道に一軒ポツンと立つイタリアンレントラン「Maestris」は一九二三年から続く古い店で、現在のオーナーは三代目。ナンバーワンのクォリティーとサービスが経営哲学で、客が一〇〇%満足することを目標としている。パンやパスタ、デザートなどもすべて自家製で、メニューはそれほど多くないものの、メーンメニューには定評がある。都会から車を飛ばして食べに来る人が多く、最近では近くの州や外国からもお客さんが見える。アメリカでいちばんおいしいとされる牛ヒレ肉を使ったステーキ、先代が完成させた特製スパゲティー、現在の人気アイテムであるフェラチーニがポピュラーアイテム。平日の客数は一六〇人前後だが、ウイークエンドには五〇〇人を超す。客単価は一四㌦と安さが魅力。

テキサス州サンアントニオ郊外の高級住宅地にあるレストラン「La Scala」は六年前にオープンし、三年前に地元でナンバーワンのレストランに選ばれたヨーロピアンダイニングレストラン。店のイメージカラーはピンクに統一し、客層もドレスアップした人たちが多い。メニューの開発には精力的で、中東や日本料理からもメニュー研究している。メニューの一つのシーザーサラダはロメインサラダにクルトンとパルメザンチーズをまぶしたもので、アメリカで最もポピュラーなサラダ。素材はシェフが自分の目で見て選んでおり、最高グレードのビーフをはじめチキンでもコーニッシュヘンを使っている。この店で出すカプチーノはフランジェリカリキュール入りの特製。パスタも特別の機械を導入した自家製で、パンも一日に二度焼き、デザートもインハウスもの。新しいホームメイドを作ることに情熱を傾けるシェフが人気の原点。客は地元が七五%、旅行者二五%。

テキサス・ダラスの「BUFFALO CLUB」はビジネス街の中心にある洒落たレストラン。昼食時には近くのオフィスのワイシャツ姿のサラリーマンやOLが目立つ。ヤングエグゼクティブが好んで昼食に訪れるという。店は天井が高く天然光を採光できるようにドーム屋根にガラスを組み込んであり、窓も大きく開いて開放的な雰囲気。外にもテラス形式のテーブルとイスが並んでいる。アメリカのヤングエグゼクティブは健康への関心が非常に高く、レストランのメニューもビーフからチキンへシフトしてきているという。油の使い方が少なくなり、よりヘルシー風を求められている。メーンの料理もさることながら最後に出るデザートのおいしさには定評がある。

アメリカの高級避暑地であるサンタフェは土地柄メキシコの影響を受けた料理メニューが多い。コーンをつぶして柔らかくしたものに詰めものをして蒸したタマリ、コーントティアにいろんな材料を詰めてオーブンしてソースやチーズをかけたエンチラーダ、日本でもポピュラーになったタコスなど。ビーンズやチリを使った料理が多い。テスサスとメキシコの料理が融合したTEXMEXが全米に拡がっている。

サンタフェの郊外というよりも山の中にあるレストラン「E1 Nido」はサンタフェ特有の建築様式であるアドビを使ったシンプルな外見。ここはTEXMEXの本場中の本場ともいえるレストランで、味も雰囲気もTEXMEXにどっぷりとつかることができる。海から遠く離れた内陸部でありながら、新鮮な海の幸をふんだんに使った料理は最高に贅沢な気分にさせてくれる。

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