スペイン料理味の探検 アンダルシア地方-代表的な野菜スープガスパチョ
スペインといえば、肥沃な赤い土壌に野生の花や薬味草や香辛料が茂り、輝く太陽のもと、フラメンコの歌と踊りでにぎわうアンダルシア地方のことを思い浮かべる。しかし、スペインという国は、本当にそのような国なのか。スペインを歴史的にみると種々の民族が占領を繰り返し、おたがいに影響しあって築き上げられてきた国であるが、昨今のスペインの動きは、さながら土煙を上げてつっぱしる雄牛のようだ。スペインは、いまやヨーロッパの風雲児になろうとしている。昨年のマドリードの中東和平会議でアラブ諸国とユダヤ人との歴史的対話を成功させ、また、ポルトガルを含め、旧宗主国としてイベロ・アメリカ諸国会議を主催し、EC統合を見据えて、スペイン独自の国際戦略を展開、そして今年はバルセロナ・オリンピック、セビリア万博、コロンブス新大陸「到着」五〇〇年祭、EC統合と四大イベントが目白押しである。そこで今回は、世界的に注目を浴びているスペインの料理文化を探ってみた。
セビリア、グラナダ、コルドバなどアンダルシア地方は、イベリア半島南部にあるイスラム色の一番強い地方で白い壁の家、輝く太陽、情熱の踊りフラメンコ。そのアンダルシアでは、夏がくるとあまりの暑さに人びとの生活は活気を失う。気候のせいか、料理はさらっとしたものが多い。冷たい深紅の酒のサングリア。冷たくて喉ごしのよい野菜スープ、ガスパチョ。パリッと揚がった魚のフライなどは、夏の食欲の衰えをカバーするにふさわしい料理。
この地方の代表的な料理のひとつにアンダルシア風ガスパチョがある。これはオリーブ油、にんにく、トマト、たまねぎ、パン、クミンなど全部すりつぶして酢、氷、水を加えてつくる。暑さに耐えるだけの栄養十分の生野菜スープ。軽い料理といえば、マラガの海でとれる魚を揚げるマラガ風魚のフライ。小いわし、えび、いかなどをシェリー酒に漬けてから、小麦粉をまぶして、高温のオリーブ油で揚げたもの。野菜料理としては、グラナダ風そら豆の煮込みが有名。卵料理はいろいろとあるが、なかでも有名なものはフラメンコ風卵焼きとサクロモンテ風オムレツ。このほかには、とれたてのいわしの串焼きや近海でとれる魚のフリッターなど魚料理も豊富。