辛口:ひもじさ失われた世代

1994.06.06 53号 20面

*…大食い大会と称し、鉢巻きにゼッケンのいでたちで、胃袋の辺りを押さえながら、悲愴な面持ちで、味わいもせずに詰め込んでいるテレビがよく見られる昨今、しかも詰め込み過ぎて胃を壊す者も居ると言う。驚いたことである。

*…こんな企画しか出来ないものかと、その都度思ってしまう。ひもじいなどと言うような言葉は忘れられてしまった世代、全く平和ボケとでも言いたいところ。短期日に何万人もが餓死している国々、内戦で食糧にありつけない多数の難民、もしこのような人達がこんなテレビを見たら、どんな気持ちになるであろうか、その都度考えてしまう。

*…料理は、ラーメン、どんぶりもの、すしその他メニュー品種のいかんを問わず、それぞれの長年にわたり味づくりの積み重ねにより、つちかわれた味覚として完成された食文化でもあるはず。プロ、アマの料理を問わず、時折でもよい、それなりによく味わい、栄養のバランスを考え、楽しく、大切に、感謝の気持ちで食べる日があってもよいと思う。

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