お店招待席:さしみし酒屋「北乃一丁」コンセプトは居酒屋のFR
東急新玉川線二子玉川園駅。玉川高島屋本館の真向かい。国道二四六号線沿いに位置する九階建ビル「アルスプラザ」の三階。
このビルは、四階にカラオケパブ「ゾディアック」、五階しゃぶしゃぶすきやき「ろまん亭」、七階「アルス・カルチャー・スクール」、八階「アルス麻雀倶楽部」とレストラン・バー「アルス倶楽部」、九階露天風呂・サウナ「遊月」などの飲食、レジャー施設が入っている複合ビルで、これら店舗はアルス(株)(本社=東京・世田谷、多田公信社長)が運営管理している。
北乃一丁は昨年7月のオープンで、一五〇坪、三〇二席の大型店だ。店内は白木の木造り感覚で、格子で仕切られたフロア構成になっており、各席が独立した空間を展開している。
テーブル席のほかにはカウンター、掘りゴタツ式、畳の宴会席などもあり、人数に合わせて多様な使い方ができる。
刺身居酒屋というだけあって、店の売りものはカニ料理(八品)や刺身類(一六品)だが、グランドメニューとしては揚げ物(一一品)、焼き物(一四品)、一品料理(一四品)、ご飯物(一三品)、サラダ(五品)、酢の物(四品)、その他(五品)など計九〇品をラインアップしている。このほかには、飲み放題のコース料理(六種、三五〇〇~八〇〇〇円)もある。グランドメニューの中心価格は三〇〇円台から五〇〇円前後の範囲で、ボリュームがあって安いというのが、客の一致した見方だ。
「ボリューム的には他の居酒屋チェーンなどに比べ、単品あたり一・五倍くらいの量があるのではないでしょうか。それに質の面でもお客様に納得していただける水準を維持していると自負しております」(営業開発部宣伝広報課藤後琴美課長)
食材は冷凍物が主体だが、旬のものやイベント時には産地直結のなま物も導入している。材料コストは四二%。仕入れは指定業者を通じて日配で行っている。
大衆居酒屋であるのですべてチルド製品を使うというわけにはいかないが、ある程度の質のある食材を大量に仕入れて、低価格志向で客数を多く取るという営業戦略をとっている。
客単価は三〇〇〇円前後だが、夜6時から8時ごろまでは常に満席状態で、店に入り切れない客が順番待ちで列を成す。客層は平日がサラリーマンやOL、学生などだが、土・日はファミリー客が主体になる。
居酒屋にファミリー客とは意外だが、店の運営としては、“居酒屋のファミリーレストラン”という狙いもあるので、子供連れの若い世代のファミリー層も多く来店するわけだ。
「うに丼とかいくら丼などのご飯ものやおむすび、すし、太巻などもおいていますから、食事もできますので、親はアルコール、子供は食事というパターンで、ファミリー客も多いのです」(藤後課長)
ご飯物はうに丼一八〇〇円、いくら丼八八〇円、おにぎり、むすび各一〇〇円、カニ太巻すし八八〇円、明太子、ホタテ太巻九五〇円など。
これらの補助メニューとして、汁物(三〇〇円、四〇〇円)、漬物(二二〇円、三五〇円)などもおいてある。
アルコールは生ビール(中ジョッキ)三八〇円、びんビール中四三〇円、ウイスキー水割四〇〇円、酒(一合)二五〇円、酎ハイ二五〇円などで、大抵のものを揃えている。
“飲んでよし、食べてよし”の居酒屋ということだが、オープン一年でクリアできない課題もある。宴会利用が少ないということだが、これは店舗周辺に会社、事業所が少ないという立地上のハンディがあるためだ。
宴会利用は客単価が上がるので収益力が増す。今後は営業をかけて積極的に宴会客をつかんでいく考えだ。
「これからは外回りも積極的にしていかなくてはと思いますが、基本的にはクチコミで客が増えていくことと、来店頻度を高める工夫が大事なポイントと考えています。料理とサービスの内容はもちろんのこと、明るく元気にイキのいい営業で集客力を高めていく、これからはさらにお客様になじんでいただけると確信しています」(営業部営業一課依田健治主任)
来店者のうち、すでに五、六割が固定客だが、地域の人たちに支持されているのは確かだ。月商三〇〇〇万円以上。月によっては五〇〇〇万~六〇〇〇万円というケースもある。
この店は北乃一丁グループ(本部=東京・新宿)のFC店で、姉妹店が新宿、市川(本八幡)、栃木(大田原)、原宿、大森、土浦、水戸、郡山などにある。
(しま・こうたつ)
・住所/東京都世田谷区玉川二‐二四‐七
・電話/03・3709・3431
・営業時間/午後4時~11時、無休