飲食トレンド:千変万化する豆腐メニュー
三〇〇年の歴史を誇る豆腐料理の老舗「笹乃雪」は、今も豆腐と言えば「笹乃雪」と言われるほど世に知られている。メニューも、あんかけ豆富、ちりむし豆富、空也豆富、胡麻豆富など、すべてが豆腐づくし。
伝統的な豆腐料理も良しとしながら、とうふ家「ゑん重」近藤店長は「すべて豆腐では飽きてしまう。旬の味を演出したい」とフランス料理の経験を生かした料理演出をする。月ごとに替えるメニューで、お客に新鮮さを与えると共に、リピートにつなげる。「また行きたい、この次は何が出るかしら」という期待感を持たせるのだ。
八割が女性というのもうなづける。評判のレアチーズケーキは、一年がかりで商品化した力作。材料は単純だが「仕掛けは微妙なバランス」を要するとのこと。
専門豆腐店でないだけに、全く自由な発想で、バリエーション化しているのが、居酒屋「金陵」だ。今年の夏メニューには、枝豆でつくった「ひすい豆腐」が涼感を呼び人気者。
冬のメニューに、おからのコロッケ、豆腐まんじゅう、豆腐ピザ等々。若者が立寄り易い立地だけに、昔ながらの素材を華麗に変化させたメニューに人気がありそうだ。
豆腐は、東洋の食文化のみにあらず、アメリカではダイエット食、健康食として大変な人気。関係の深いレシチンの研究も盛んだが、このレシチンと豆腐を使いチーズケーキを作ったのが「ピタハウス」の菊地店長。「豆腐はおもしろい素材」と創作を楽しむ。近くおからのマフィンを発売する。
一丁の豆腐が千変万化。作り手、買い手ともども楽しめる豆腐料理を展開する店のいくつかを紹介する。