お店招待席:テキスメクス料理「ロックンロールダイナー」東京・世田谷

1994.09.05 59号 4面

(株)ダブリュー・ディー・アイシステムの「Rock,  n、Roll DINER」(ロックンロールダイナー)は、世田谷区下北沢にあり、テキスメスク料理(テキサス風のメキシコ料理)と、五〇年代のアメリカの雰囲気を復元した独特の店内と生DJなどそのファッション性の高さがウケ、集客に成功している。

下北沢は井ノ頭線と小田急線がクロスしており、新宿、渋谷に近いことから若者の街として脚光を浴びていることは周知の通り。同店はオープンして六年になるが、三年前にターゲットを学生に絞った当初の運営から流行に左右されず、「きちんとレストランして集客していこう」と方向転換した。現在は外国人、サラリーマン、OL、ファミリーに向けて販促を行っている。

最寄駅の下北沢駅から渋谷方向に徒歩三分の「Big Ben」地下一階にバー五〇席、レストラン一五〇席、合計二〇〇席の店構えは、下北沢界隈でも大きなキャパシティーである。

客単価は二〇〇〇~二五〇〇円位。同地域では決して安い店ではない。バーはキャッシュオンデリバリー方式。バーカウンターで直接オーダーしてその場で支払う。

「料理の質と量と値段では値ごろ感がある」(羽白稔ゼネラルマネジャー)。特に料理のボリュームはアメリカンサイズのため、電車を利用して来店する外国人も多く、三割は外国人客で占める。

レストラン部門ではサービス料もオンしており、「食を通してアメリカ文化を伝えよう」がコンセプト。食材に冷凍食品は使っていない。特にお勧めで月間一五〇〇食は売れるハンバーガー類のパティーはビーフ一〇〇%で一五〇g使用。ハンバーガー=FF(ファストフード)と思っている客はまず驚くという。ほかにファヒータなどが売れ筋メニュー。

「レストランで非日常を体験してもらう」(同氏)という点では、量と味付(スパイスなどの使い方は本場のまま)はアメリカンレストランならでは。一ヵ月に約一万人を集客、週末は二回転し、平日の三倍の込み具合。

レストランは列車のベンチシートが向かい合っている格好のブース席がメーンで、食堂車を改良してレストランにしようとしたのがダイナーの始まり。

店のテーマは五〇年代のアメリカ。生DJ(午後7~11時)で流れるプレスリーやモンローなどオールディーズ中心の懐かしいポップスに身をゆだねていると、五〇年代のアメリカにタイムスリップしたのかと思うほどインテリアも凝っていて、ひとときの間、日常を忘れさせてくれる。

同店のもう一つの特徴は、イベントや販促活動が多いこと。定着したUSのカレンダーイベントとしてはハローウィン、セントパトリックス、サンクスギビングなど他店では行わないイベントも行う。ゴールデンウイーク中はファミリーフェアを開催。月~金のDJタイムには全員参加の抽選会、週末午後4~6時はハッピーアワーでドリンク全て半額。前日までの誕生日予約客にはバースデーケーキが無料。「きちんとレストランしていて、なおかつおもしろい」(同氏)というレストランを狙う。

価格的には昨年11月と今年の5月、この一年で二回値下げした。特に5月には売れ筋のファヒータを二〇〇円安くして一五〇〇円に、アルコールのマルガリータを一〇〇円下げて七〇〇円にした。同店のマルガリータはシャーベット状で日本では唯一と思われるが、機械化している。月間二〇〇〇~二五〇〇杯は出ており、お勧めの一杯だ。ピッチャー(五杯分)二八〇〇円もある。ほかにストロベリーダイキリ一〇〇〇円も人気。カクテルも一杯三六〇ミリリットルとアメリカンサイズ。

今後の課題としては「アルコール類をはじめ輸入食材が安くなっているので、長期的にどう判断して価格の見直しを図っていくか」(同氏)だという。

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