ホテル戦争特集:燃える秋の陣、キーワードはリーズナブル

1994.09.05 59号 10面

首都圏の都市ホテル界は“秋の陣”で戦線が一気に拡大、新勢力が台頭しそうだ。京王プラザホテル・八王子、パレスホテル・立川、ウェスティンホテル東京・恵比寿、ホテルオークラ・浜松、品川プリンスホテル(リニューアル)が新勢力で、各ホテルとも集客作戦を練り上げている。

ここで注目されるのはいずれもレストラン部門の強化を図っていることで、既存の都市ホテルよりもメニュー価格を引き下げ、地域周辺の新規客の掘り起こしに力を入れている。生き残りを賭けた新・旧のサバイバル戦争のキーワードは“リーズナブル”のようだ。

折からの不況で、既存のホテルは軒並み客室の稼働率を下げており、そのため宿泊料金やレストランのメニュー単価を値下げするなど、新たな集客に必死になっている。ホテル内で“祭り”のイベントを企画し、周辺住民をレストランへ吸引するなど、これまでとはひと味変わったイベントも打ち出しており、企画力で勝負する時代に入っている。換言すれば、法人需要が落ち込んでいるのを個人需要の掘り起こしによっていかにカバーするかということだ。

宿泊プランで割安感を強調

新規オープンのホテルはいずれも個人客を中心にした企画に力を入れており、朝食、プール、フィットネスクラブなどをパッケージにした“宿泊プラン”を打ち出し、割安感を強調している。また、結婚式宴会料金もパッケージにし、小宴会の需要にも対応するなど、新企画を駆使しながら、リーズナブルな価格への見直しを図っている。

新館ホテルの共通した特徴はレストラン部門を充実、強化していることだ。既存の都市ホテル内のレストランは地下が奥まった人目につきにくいところに置かれているケースが多いが、今秋オープンするホテルはレストランを前面に打ち出し、集客力を上げようとしている。パレスホテル・立川では一階ラウンジにイタリアンレストランをレイアウトしており、従来の都市ホテルにないコンセプトをもたせている。

「首都圏のホテルは乱立し過当競争時代に入っている。客室の稼働率を上げるのは至難で、このため宴会とレストラン部門で稼がなければならない。“格”を下げずに、いかにリーズナブルな価格を打ち出していくかが課題だ」といわれている。

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