施設内飲食店舗シリーズ マイカル本牧(横浜・本牧)賑わう感性の街

1994.10.17 62号 6面

マイカル本牧はオープンして満五年になる。この施設はスーパーチェーンのニチイが事業主体となって建設したもので単なる商業集積の展開ではなく“アーバン・リゾート”という考え方で地域の自然環境と快適性、楽しさを尊重した“感性の街”を出現している。

敷地面積約一万坪。ここに一番街から一一番街までの施設を展開し、物販一六七店、飲食三八店、サービス他三三店、ホテル一棟などの商業、都市施設を集積している。街は五~六階建の中層ビルを主体に展開しており、ルーフ付きのビルがどこか外国の雰囲気をアピールしている。レジ客チェックで年間一八〇〇万人の来街者、売上高三二〇億円。横浜でも有数の商業ゾーンとしての機能を発揮している。

マイカル本牧はJR根岸線の根岸駅からバスで一二、三分ほど。よくある駅前の商業施設ではないし、また、郊外ロードサイド型のSCでもない。

かつて、この地区は米軍が接収していたところで、住宅街としての拡がりをみせていた。エリア面積二七万坪におよぶ広大な地域で、海、丘、緑という自然環境に恵まれ、横浜市内にあって現在なお有数の都市空間を残している。

しかし、一九八二年に接収が解除されたことから、横浜市が横浜都心部の南の玄関口「新本牧地区」として位置づけ、「国際性」「観光性」「文化性」をコンセプトに、新しい街づくりを推進してきている。

マイカル本牧は、このコンセプトに沿って開発された核となるセンター地区で、ハード面だけではなく、機能面でも充実した飲食ゾーンとともに、質の高い都市空間を実現している。

マイカルの街並はJR根岸の駅から東方向、横浜赤十字病院の先を行って、国道三五七号線から分かれて左に、つまり本牧通りに向かい、本牧和田を通って、その先の本牧原地区に展開する。

街は本牧通りに沿って左右に展開する。建物は五~六階建を基準にした屋根付きの中層ビルで、屋根はブラウン、外壁はベージュとスパニッシュ・コロニアルをイメージした都市デザインというだけあって、独特の雰囲気を漂わせている。

建物群は国道三五七号線方向から見て、通りの右手に一、二、三番街、左手に三、五、六、七、八、一〇、一一番街の計九棟を展開する。

施設データ

・名称/「MYCAL本牧」

・所在地/横浜市中区本牧原七、八、九、一二、一三、一四、一七番

・オープン/八九年四月

・事業主体/(株)ニチイ 本牧事業部

・敷地面積/約一万坪

・事業面積/一万七〇〇〇坪

・延床面積/約四万坪

・施設構成/物販(一六七店)、飲食(三八店)、他サービス(三三店)、ホテル(一店)、駐車場(二二〇〇台)

・施設利用(レジ)客/年間一八〇〇万人

・年間売上げ/三二〇億円

・施設人口/約二〇〇〇人

これらの建物には物販一六七店、飲食三八店、サービス他三三店、ホテル一店など約二四〇店を集積するわけだが、飲食については五番街をボリュームゾーンにして、一、二、三、六、八番街に展開しており、ビルイン店舗としては横浜市内でも最大級の飲食ゾーンを形成している。

飲食店舗は「ジャパングディッシュ」「ワールドディッシュ」「カフェ」「ファストフード」の四つのカテゴリーで展開しているが、FFから和・洋・中まで全方位でのレストランサービスを集約する形になっている。

「店は画一的にならないよう街区ごとに特色をもたせて、子供から大人、ファミリーから会社利用まで多様な業態を集約しておりまして、しかも価格帯も値ごろ感のある納得のいくものだと自負しております」(マイカル本牧運営部ディレクター井上進氏)

客層はもちろん地域住民が主体だが、土・日・祭日はドライブ客などが東京、埼玉、千葉方面からも来街する。

商圏人口は二〇キロメートル圏で六〇〇万人。マイカルは近接地にランドマークタワーに代表される「みなとみらい」をはじめ、山下公園、ベイブリッジ、中華街、港が見える丘公園、外人墓地、三渓園など観光スポットが点在しているので、それだけに広域からの客の流れもあるわけだ。

レジ客だけでも年間一八〇〇万人の来街者で、年間売上高は三二〇億円、横浜市内でも有数の集客力を誇っている。

◆割烹・活魚料理「百人一朱」

マイカル地区の入口辺りに展開する一一番街に位置しており、和風二階建の独立形式の店だ。店舗面積二三〇坪。

一階は店の真ん中にイケスがレイアウトされており、それを囲む形でカウンター席がある。その外側は座敷席。席数は合わせて一二二席。

二階は一二席が七卓、座敷席が一〇~二〇人、計一〇〇人前後を収容できる。イケスは二階からも見ることができるので、このイケスが店の集客機能の大きな要素にもなっている。

店の人気メニューは、特選しゃぶしゃぶ一九八〇円、特上しゃぶしゃぶ三八〇〇円で、肉のお替わりは自由だ。

肉はオーストラリアの輸入肉だが、質的には和牛と変わらない。一皿二五〇g前後。平均して一人あたり二皿の消費だという。

イケスがあるだけに活魚料理も店の売りだが、これは名物荒磯盛り(三~四人)三五〇〇~七五〇〇円、活魚姿造り(一尾)二九八〇~五九〇〇円など。

店の性格から高価格料理を売りものにしてきたが、やはりバブルがハジけて会社利用などが激減したので、昨年6月にメニュー(価格)の見直しをおこない、二、三割前後ダウンした。

これは客数を多く取る作戦だが、このメニュー戦略が当たって売上げは順調に回復してきている。客層は地域の住民を主体に会社関係だが、客単価は昼一五〇〇円、夜四三〇〇円。

売上げは平日五〇~六〇万円、土曜一一〇~一二〇万円、日曜一二〇~一五〇万円。姉妹店が天王町(横浜・保土ヶ谷)、南茨木(大阪・茨木)にある。

◆ブラジル料理「サンバ・サンバ」

五番街の四階。メキシコ、イタリア、インド、タイなど外国料理のレストランが出店するフロアで、昨年12月居抜きでオープンしたシュラスコ(串焼肉)とラテン料理の店。

店舗面積四五坪、客席数六五席、主力メニューは、牛肉二種類、鶏手羽、鶏ハツ、チョリソーをセットにしたシュラスコで、これにミックスサラダ、フライドポテト、ビナグレット、ライス(パン)が付く。価格は一九八〇円という安さで、しかも“食べ放題”で、七割の貢献度だ。

アラカルトではエスフィハー(挽肉入りのパン)、コシニャー(チキンのコロッケ)、キビ(挽肉と玄米入りフライ)、エバンダ(パルミット入りパイ)、パステル(ブラジル風ギョウザ)、フライポテト各三〇〇円など。

このほか、サラダ(五〇〇~八〇〇円)、デザート(四〇〇~六〇〇円)も揃えている。アルコールはビール、ウイスキー、カクテル(六〇〇~一〇〇〇円)など。

この店のもう一つの売りは、ブラジル(サンバ)音楽の生バンドだ。17時から23時までの夜の営業時間内に、三〇分単位で三ステージおこなう。

一九八〇円のシュラスコ料理の食べ放題、それに生バンド付きのディナーメニューということだが、客の評判はよい。

客層は二〇~三〇代の男女だが、土・日・祭日はファミリー客やカップルが主体になる。客単価は二〇〇〇‐三〇〇〇円、月商一〇〇〇万円。

◆インド料理「GANGA」

外国料理だから五番街の四階での出店だ。店舗面積三一坪、客席数四八席。平成元年6月のオープンで、伊勢丹プチモンドの経営だ。

インド料理はスパイスを多用した料理だが、この店は日本人向きにアレンジしている。料理はインド人のベテランスタッフが作っているが、辛味をおさえてある。

人気メニューはタンドリーチキン一七〇〇円、シークカバブー一四〇〇円、車エビタンドール焼二四八〇円などが中心。

もちろんカレー(二〇種=一〇〇〇‐一七〇〇円)も評判のもので、カレー通が地域外からもやってくるほどの人気だ。

夜の食事メニューにはディナー三〇〇〇~三五〇〇円も提供している。客層は二〇~三〇代の女性客が多く六、七割、残りがカップルやサラリーマン、ファミリー客などだ。

客数は一日平均一一〇人くらいだが、この8月は暑気払いということもあってか、三割増に近い客数を示した。

固定客六割。月商二〇~二五万円。土・日には客数が平日の二、三倍に増加するので、売上げもそれに比例して上昇する。

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