ラーメン新興チェーン「会津喜多方ラーメン・坂内」味・雰囲気・サービス基本
首都圏を中心に現在三八店舗のチェーン店を有しているのが「会津喜多方ラーメン・坂内」(ばんない)。
チェーン店の標準的な店舗は一五坪、二五席、年商で九五〇〇万円前後。既存店舗の売上高についても前年対比一〇五%前後で推移している(経営母体は(株)麺食)。
中原明代表取締役((株)麺食)も「一店舗で年商一億円前後は達成できないと、店のリニューアル、人材育成、新規店オープンなど飲食業としての将来に向かってのビジョンが立てられない」と語る。また、味、雰囲気、サービスはもちろん、立地を最重点に店舗展開をしているため、今まで一店舗も閉店した店がないというのも、ここのチェーン店の特徴。
各店舗は白と黒を基調に蔵をイメージしたつくり。店内のメニューも「喜多方ラーメン」(五三〇円)、「同・ねぎラーメン」(六五〇円)、「同・焼豚ラーメン」(七〇〇円)、「同・ねぎ焼豚ラーメン」(八五〇円)などあるものの、実際上のメニューは原型となる「喜多方ラーメン」一種類ともいえるほどのシンプルさ。
これはメニュー(ラーメン)の特色から「当たり前のことを当たり前にやると必然的に単品メニューに絞られる」という発想に基づくものだが、逆に一品でもいけるというラーメンづくりの店における自信の表れ。
ところで「坂内」のラーメンの特色は、喜多方(福島県)の中でも珍しい塩味がベース。これに若干、醤油味を加えた薄めのコンソメに以たスープ。それだけにくせがなくマイルドで、客の約六〇%は女性、子供連れというのもうなずける。
麺は各店舗ごとに毎日、会津喜多方からの直送による太麺を使用している。また、ここの名物となっているチャーシューは、各店舗、地元の肉屋から仕入れているが、作り方については糸で縛らず、うま味をのがさないなどの工夫を凝らしている。自慢メニューの「喜多方焼豚ラーメン」は焼豚で麺が見えないほど。
「ランチタイムの半ライス(サービス)も、一キログラム炊きの釜で五~六回に分けて炊き、炊き立ての味を食べてもらっている」。飲食業の経営に難しいノウハウはいらない。「味、雰囲気、サービス、当然のことを当然にやるだけ」(中原明代表取締役)‐‐とする中で、今後どこまでチェーン展開を進めていくか楽しみだ。