飲食店点検(1) 日本一の東武百貨店レストランゾーン 大食堂時代から脱皮へ
JR池袋駅西口に6月10日、日本最大規模の百貨店が誕生した。その名は東武百貨店。昭和46年にオープンした既存館にプラスして中央館、メトロポリタンプラザ館が隣接され、それぞれはダイレクトに接続されている。なおメトロポリタンプラザ館は正面入口から向かって左半分が百貨店、残りの右半分が池袋ターミナルビル㈱独自の運営「メトロポリタンプラザ」になっている。百貨店の売り場面積は八万三〇〇〇㎡。総延長三五〇m。これだけの規模にもなると、かなりの集客を見込めるためかレストラン街の充実度もなかなかのもの。
まず地下二階地上一七階建の既存館はオープン当初から一一階から一七階までを飲食街に割り当てている。当初は「エアキャッスル」として三六店舗でスタートしたが、平成2年から3年にかけてリニューアル、「スパイス」として再スタートをきっている。改装時には、一一階ワンフロアを使って直営していた大食堂を思い切ってやめ、このスペースも各テナントに分割、現在は四六店舗で構成されている。「百貨店が館内に大食堂を経営する時代は終わった」と同社スパイス事業部の江口邦夫さん。
この飲食街の特徴は各階ごとに変化を持たせたコンセプトで、幅広い客層と飲食のシーンに対応している。具体的には一一階一三店舗、一二階一五店舗はファミリー向け、一三階はカーニバル、お祭りがコンセプトでアルコール主体の店八店舗、一四階のコンセプトはシックで高級志向の店五店舗、一五階はクライマックスで接待にも利用できるような館内最高級志向の店四店舗。この四店舗は客単価一万円から二万円を設定している。一六階は夏期のみ営業するビアガーデン、一七階はパブ。スパイス全体の店舗面積は合計九四一五・〇九㎡、三四七三席。
この飲食街だが昭和46年のオープンから前年比で売上高が一度も減少したことがないとか。平成4年度の売上げ目標は一一〇億円。
そのほか本館には五店舗、プラザ館には七店舗の喫茶が入っている。同百貨店内の飲食店は合計で五八店舗だ。
5月28日、百貨店より一足先にオープンしたのは「スパイス2」。メトロポリタンプラザビルの正面、東武アネックスビルに入った飲食六店舗だ。二つ目のスパイスになるがこちらは東武鉄道が運営している。「スパイスの一四、一五階レベルの店を取りそろえたんです。場所が百貨店と離れているので、まだまだ知名度はありませんが、話題になるような店が多いので、今後が楽しみです」と江口さん。スパイス2の総店舗面積は二三〇〇㎡、総客席数七五〇席、年商目標は二五億円。