急成長宅配弁当 「エンゼルフーズ」幼稚園弁当で毎年30%増

1995.05.15 76号 4面

九四年度の弁当給食市場は六八四二億円(対前年比〇・五%増)と外食産業全体の伸び率一・一%をやや下回っている。ランチのワンコイン(五〇〇円)市場にテークアウト弁当店やCVSの弁当に加え、レストランの低価格化も加わって激戦状態となっている。「ホカ弁と違って宅配の強みは無店舗販売」(エンゼルフーズ古賀副社長)とその強みを最大限に生かして急成長している宅配弁当店を紹介する。「車一台四時間で三〇万円の売上げ」(同氏)とランチタイムだけでは店舗経費が出てこないランチ商戦の生き残り戦略を追う。

エンゼルフーズ(株)(東京都足立区、03・3927・1123)は旧社名(株)千成瓢箪から5月10日に社名変更。私立幼稚園の給食を柱に三年連続三〇%売上げを伸ばしている急成長宅配弁当会社だ。

「伸びている企業を研究したところ、共通しているのはお客様満足度を追求していることだった」とわかったと同時に古賀義将副社長はすぐに顧客一軒一軒を訪問。弁当を作って配達して回収して請求するという作業の中にお客の意見を聞いて商品に反映させるという作業を加えた。

「子供は単品ずつ食べるので、最後に白いご飯が残ってしまう」「親は不況といえども少し高くても質の良い弁当を望んでいる」などなど足で生の情報を拾い、二年前に東京・北区の幼稚園弁当シェア一〇%を一気に六〇%に引き上げた。

同社の弁当は他社より一割ほど価格は高く、一食三〇〇円。月~金まで週五日、一ヵ月に同じメニューは出てこない。

同社のユーザーは幼稚園四三・八%(三億五〇〇〇万円、一万食)、学校三七・四%(三億円、三〇〇〇食)、一般事業所一八・八%(一億五〇〇〇万円、一五〇〇食)。見ての通り、幼稚園は春・夏・冬に長期休日があり、平均年間営業日数は一五〇日と一般の二六四日より格段に少ない。一食当たりの単価も大人の半分強という価格のため、一般の弁当に比べると食数を四倍取らないと同じ売上げにはならないというデメリット部分がある。「短期間でいかに効率良く運営するか」がキーワード。幸い、子供のいるパートの人達と利害が一致しており互いにメリットとなっている。

昨年、近代的設備を整えた専門工場「エンゼルフーズ夢工場」を新設した。調理室と盛り付け室を分け、その間に冷却室を設けた。調理したての惣菜を五度Cで一〇~一五分間さますことにより蒸れを防ぐとともに、製品の劣化を防ぐという初の試みである。また部屋を分けることにより温度管理の徹底を図ることができた。

この新工場稼働により、盛り付けラインも二ラインになったことから以前は朝4時から作業していたものが現在は8時から開始しても十分間に合うようになり、より製造時間と喫食時間が近づいたことにより、作りたてを届けることができるようになった。かかる人件費の削減にもなっている。

将来的には一〇万食をめざしている。日配品なので、一地区一工場一万食で一〇工場が目標だ。地域的には人口が増えている春日部地区が最有力候補地。そのためにも、現在は人材の育成が最重要課題という。

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