サニテーション「手を洗う」食中毒防止は基本にあり
事故が多発する食中毒シーズンである。東京都における今年度の食中毒発生状況を見ると7月11日現在で一七件(昨年三〇件)、患者数四九八人(同一一三一人)と猛暑だった昨年に比べ件数で半分、患者数は約三分の一強で推移している。最近の具体例としては6月末に発生した品川区の仕出し弁当(五目ちらし)では患者六六人を出し、病因物質はサルモネラ、エンテリティディスであった。7月に台東区で発生した児童館の七夕まつり(流しそうめんのつけ汁が疑われる)では患者数五五人、病因物質はサルモネラ〇四(ゼロヨン)であった。
平成4年度の全中毒件数のうち一三・五%が手指汚染に関連する中毒であった。なぜ手洗いを怠るのか、なぜ徹底できないのか。厨房担当のチーフの話をまとめてみると、「自分はよく洗っている」「自分の手は常に清潔に保っている」と答えている。その裏には手を洗うのは仕事でない、といった気持ちも見えかくれしており、いそがしさにまぎれて忘れたことに気づかないことも多い。
先に述べたように、仕事の区切りがついた時、ふと仕事途中に他の品物に手を触れたり、また自分の体の部位、たとえば頭、顔や鼻などを触れた後に手を洗わないことが多いといわれる。
・厨房に入る時
・トイレを使用した後は十分に確実に洗うこと(流水に手をぬらすだけはダメ)
・作業の区切り。一つの作業を終えて次の作業に移る時。
生魚に触れていて、そのま加熱調理した食品を取り扱うと二次汚染の原因になる。また、生鮮食品調理中に、冷蔵庫のドアや、ダンボールに触れそのまま再び生鮮食品調理にもどったりせず、必ず動作が変わる時はその時点で手を洗うこと。
・調理場に入る前に、指輪や腕時計ははずし、マニキュアも除光液で取り除く。
(1)石けんで汚れを落す。
爪は爪ブラシで汚れをよく除く。
(2)流水ですすぐ。
(3)使い捨てペーパータオルやロールタオルで水気をよくふきとる。
(4)アルコールを墳霧して除菌する。
この手の洗浄剤に、固型石けん、液体石けん、液状合成洗浄剤があり、これで汚れを落としその後に、手洗い用殺菌剤、殺菌剤入り洗浄剤、逆性石けんを利用するのが良いといわれている。
いつでも気軽に手洗いのできることは最高である。手洗台数は従業員数や作業面積により決められているが多い方が楽である。蛇口は足踏式とかハンドコック式だと面倒がない。
洗浄剤を切らさないことも重要ポイント。手洗責任者を決めるのも一案。
子供でもトイレを利用した後は手を洗う習慣がついている。作業中に手を洗う習慣をつけることで問題は解決する。
その習慣づけにはまず繰り返し注意すること。それでもなお手洗いをしない者は罰則として減点制度を作り給料から差し引くくらいの気迫がほしい。
食中毒は外食産業企業、飲食店経営だけの問題ではすまされない。多くの飲食する人々の生命にかかわっているのである。