お好み焼き・たこ焼き・もんじゃ焼きお店紹介 広島風お好み焼き「れもん屋」

1996.02.05 94号 13面

気取らない少年時代の郷愁の味を東京・早稲田で提供し、在京の広島県人に第二のふるさととして親しまれているのが、広島風お好み焼れもん屋(東京都新宿区、03・3209・9617)。

川本孝夫オーナーも脱サラ組。故にお好み焼きには人一倍の愛着とこだわりがあり、広島といえば「カープ、オタフク」と言う川本氏は、お好みの醍醐味を「いろんな野菜の味を包含して絶妙な味を醸し出す偉大さ」と表現する。

よって皮には味を付けずに蒸す際のふた的役割を果たすところが広島風で、頑固にプレーンにこだわり、ほとんどが野菜のためにお腹いっぱいになってもヘルシーで消化がよいという原型を貫く。

「少年のころ、駄菓子屋でおばちゃんが焼いてくれたお好みが私のお好みのルーツ。数人でワイワイガヤガヤ食べて、こぼれたソースが焦げているのがまたおいしい。わい雑で気取りのないのがお好み」

客層はサラリーマンと学生が多い。最近は女性同士や休日はファミリー、カップルも目立つ。若い人はお好みから始まるのでよいが、サラリーマンなど年輩の人は飲むのでつまみが必要。広島ではお好みをつまみに飲むが、さすがに東京ではお好みだけではもたず、いか天、広島菜、ままかりなど、広島、瀬戸内のものを揃えてお好み居酒屋風にしている。

「精神的にはお好み専門店です」と、昭和55年のオープン以来、異郷の地、東京で根を張るためにさまざまな工夫を凝らしてきた。

客の主流は広島県人。人一倍お好みにこだわりと誇りを持つ川本オーナーであるが、手に入る食材が広島とは若干違い、東京という立地で本場の味を出せない歯がゆさがある。たとえば、ネギは青ネギと白ネギ、モヤシは太モヤシと細モヤシなど、食材が違うと味も微妙に違ってくる。これをカバーするのが店内に充満する広島気風である。

売れ筋は(1)「お好み焼き」(九五〇円)(2)「ミックスそば入り」(一五〇〇円)(3)「エビ入り」(一一〇〇円)。一四坪、三〇席。一日二・五~三回転。営業時間は午後5時から11時。

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