FCビジネス点検 ミスタードーナッツ ㈱ダスキ 飲茶導入で収益力アップ狙う

1996.03.18 97号 10面

ミスタードーナツは、化学ぞうきんのレンタルサービスで知られる(株)ダスキン(本社=大阪)のFCビジネスだ。

もちろん、このチェーンビジネスは、米国ミスタードーナツとのライセンス契約(昭和45年5月)によって具体化されているものだが、日本での出店第一号は、昭和46年4月に開設した大阪・箕面店(パイロットショップ)で、FC第一号はその年の11月、大阪の都島(京橋店)に出店した。

東京でのFC第一号は半年遅れて昭和47年6月にオープン。メンソレタームで有名な近江兄弟社(本社=滋賀・近江八幡)がフランチャイジーで、「お茶の水店」がそれ。

ドーナツはすべて店内製造で作りたて、フレッシュさが売りものだ。

商品はプレーンクルーラー九〇円、オールドファッション、フレンチクルーラー各一一〇円、チーズマフィン、アップルパイ各一六〇円ほか、約六〇~七〇品目を提供。

今年2月からラインアップしたハンドカットケーキ(七種)九〇~一〇〇円など。

九五年3月現在の出店数は直営七三店、FC六八二店の計七五五店で、日本最大のドーナツチェーンとしての地位を確立している。しかし、ミスタードーナツは定番ドーナツ商品に加え、二年前から「飲茶」商品や季節商品を導入、ドーナツばかりにこだわっているわけではない。

飲茶は全店ではないが、シュウマイ(三個)二四〇円、エビ蒸しギョウザ(三個)二四〇円、肉マン、アズキマン、ごまだれだんご各九〇円を導入、すでに八割の店が提供している。

この商品は店でのプロダクツではなく、冷凍で配送されてくるものをスチーム解凍するシステムのものだが、狙いは収益力の強化にあるというのは説明するまでもない。

売上げ貢献度二、三割ということだが、店によっては売上げがオンできずに、収益はプラスマイナスゼロという加盟店もある。

つまり、売上げのパイが大きくならなければ、単にドーナツのシェアを削ることになるということだ。

季節商品は暑い夏場対策のもので、アイスクリームやかき氷、サマードーナツ(ヨーグルト入りあっさりした味の商品など)といったものだ。

ドーナツ商品の客層は若い女性客が主体だが、客単価は四〇〇~五〇〇円前後。店舗当たりの売上げは店舗面積三〇坪規模(六〇~七〇人収容)で月商一〇〇〇万円。

原材料コスト二六%以下、荒利七〇%以上、純利益一三%。

「ドーナツの原材料コストは企業(本部)努力もあって低く抑えられているので、大変にありがたいことですが、しかし、飲茶商品はいまのところまだドーナツに比べ数ポイント高いので、この点を今後どう低減化していくか大きな課題です」(あるFC店店長)

全店導入で売上げを上積みするという前提で、商品が量的に出れば、当然コストも低減し、収益力も増すということになるわけだが、どういう結果になるのか、今後の推移が注目される。

店舗開設資金は独立店舗で五〇〇〇万円(土地別)、テナント出店三五〇〇万円(物件取得費除く)。FC加盟条件のハードルが高いこと、資金力も必要とするので、脱サラ経営は少なく、九割が他業種および飲食業からの加盟だ。

つまり、「法人経営」が主体になるということだが、加盟店サイドでの多店舗化も多く、少ないところで二、三店、多いフランチャイジーで二〇~三〇店というケースもあり、FC店の出店意欲は旺盛だ。

問題は客のとれる立場の確保ということだが、立地はパターン化せず、人の往来が顕著であれば、オフィス街でも住宅街でも自由ということだ(ミスタードーナツFC本部)。年間五〇店以上の出店ペース。二〇〇一年には一〇〇〇店の大台を達成する計画にある。

(しま・こうたつ)

◆立地条件(半径二キロメートルの商圏)

(1)交通の利便性が高いところ=駅のそば、バス停、タクシー乗り場の近く、生活・幹線道路沿い(2)繁華街=商店街の入口周辺、スーパーマーケット、デパートの近く、ショッピングセンターの内外(3)オフィス街=ビル、オフィス、官公庁街、公園の近く(4)学生街=女子大および女子の就学が多い教育施設(5)その他、人の往来が顕著なところ

◆FC加盟条件

・書類選考/身上、資産その他審査

・面接選考/人物、経営能力、意欲、リーダーシップ審査

・事業説明会への参加/研修会、勉強会の場での評価

・加盟金/四〇〇万円。二店舗からは一〇〇万円

・ロイヤルティー/月間売上高の七%。FC契約一一年目からは六%に減額

・契約期間/五年、更新は二年単位

昭和47年6月オープン。東京地区FC第1号のお茶の水店。「メンソレターム」で知られる近江兄弟社(本社=滋賀・近江八幡)の経営。店舗面積地下1階、地上1階各40坪、客席81席。月商1700万円以上

まだ全店八割の導入だが、二年前から「飲茶」も提供。店全体の売上げ増が狙いだが、思惑どおりに売上げオンにならない店もあるようだ

・企業名/(株)ダスキン

・ストアブランド/ミスタードーナツ

・設立/昭和38年2月(FC第一号開店=昭和46年11月、大阪・京橋店)

・所在地/大阪府吹田市豊津町一‐三三

・電話/06・821・5006

・資本金/五四億一九六八万円

・代表取締役社長/千葉弘二

・店舗数/直営七三店、FC六八二店(計七五五店)

・売上高/九四〇億円(九五年3月末現在、対前年比約六%増)

◆開設資金(標準店舗面積三〇坪)

・独立店舗の場合五〇〇〇万円(土地取得費除く)

・ビルイン店の場合三五〇〇万円(物件取得費除く)

◆標準売上げ/月商一〇〇〇万円

◆荒利/七一・五%

◆純利益/一三・二%

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