アポなし!新業態チェック(75)「ギャレット ポップコーン ショップス」原宿店

2013.04.01 409号 13面

 ●米国発グルメ・ポップコーンセレブにも人気の老舗ブランド

 カルビーグループの菓子メーカー、ジャパンフリトレーは2月、原宿表参道に「ギャレット ポップコーンショップス」をオープンした。米国シカゴ生まれの老舗ポップコーン・ブランド「ギャレット ポップコーン」の日本第1号店。

 ジャパンフリトレーは、「ドリトス」や「チートス」など世界的な知名度を持つブランドを有するメーカーで、日本ではポップコーンなどコーンを使ったスナック菓子の草分け。今回出店した「ギャレット ポップコーン ショップス」も、1949年に創業されて60年以上ものあいだ人気を誇る著名なブランド。米国内に12店舗、シンガポール、香港、ドバイ、マレーシア、クエートと世界6ヵ国に28店舗を展開する。

 商品は、熟成させたチェダーチーズのソースと絡めた「チーズコーン」と、銅製の釜で原料からつくるキャラメルをコーティングした「キャラメルクリスプ」、そしてその2種類をミックスした「シカゴ ミックス」の3種類が代表的なフレーバー(いずれも、S380円、M600円、L900円、クォート缶1200円、ガロン缶2800円)。現在は、他に「マイルドソルト」や「プレーン」など全部で7種類のフレーバーが販売されている。

 ポップコーンの素材には専属契約した農園で特別に栽培された大粒のトウモロコシのみを使用し、ノンオイルで弾けさせるポップコーンのかたちにもこだわりがある。毎日店舗で素材から作り上げるというその味は、米国では人気ドラマにも登場するほど有名だ。

 このブランドが、今後どのような展開を見せるのか興味深い。

 ★けんじの評価

 事前に知人から、「路上に並んでいる」との情報を得ていたので、あえて肌寒い悪天候の午後に臨店してみた。案の定、路上の行列はほとんどなく、すぐに店内に入って購入することができたのだが、それでもお目当てだったブルー缶入りの商品はすでに終了。しかたなく、トートバッグ付きのトリプルアソートを購入する。

 店内の大部分はポップコーンの製造と販売のために確保され、お客が並ぶようなスペースはごくわずかしかない。この店舗は、お客が行列しなくても採算が取れるという事業計画に基づいて作られたのだろうか。こうした新規事業の場合、経営母体がメーカーであるケースでは、しばしば「隣の芝生」心理から、イートインスペースのあるカフェ店舗などを作ってしまいがちだ。しかし同社は、そのあたりをキッチリとわきまえて、製造直売のみの小規模ショップを最適な立地に出店している。これは、かなり的確な事業展開であると感じるのだが、同ブランドでちょっと驚くのは、60年の歴史があるにもかかわらず世界中にある店舗数がかなり少ないということだ。単純に考えても、このスタイルであれば、デパ地下など製造をせず販売のみの売店を含めて日本国内で100店舗は楽に達成できるように思われる。しかし、長い年月の中でそうした考え方がまったく生まれなかったはずはない。ならば、そこにはあえてチェーン化しない何らかの理由があるに違いない。

 ちなみに、購入したトリプルアソートの3種類のポップコーンは、その日のうちにみな食べてしまった。「やみつき」になる味というのは確かに事実だ。

 (外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)

 ●鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウォッチャー。

 ●開業=2013年2月1日/所在地=東京都渋谷区神宮前1丁目13番18号

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