外食史に残したいロングセラー探訪(76)中国ラーメン揚州商人「スーラータンメン」
○1杯1杯を丁寧に作る本場中国ラーメン 通算500万食のヒット商品
ラーメンだけでも30種類以上と豊富なメニューを誇る中国ラーメン揚州商人。なかでもスーラータンメンは、これまでに約500万食を売上げるほどのロングセラーメニューだ。ラーメンの常識になかった酸味と辛味の絶妙なマッチングは、中国ラーメンにこだわる同店だからこそ生まれた商品と言える。
●商品の発祥:中国料理への原点回帰
1988年に創業した(株)ホイッスル三好は、千葉県を中心に「活力ラーメン元気一杯」を展開。繁盛店として売上げを伸ばしていた。しかし、時代の変化の影響もあり、新たな展開を模索する。そのなかで本格的な中国ラーメンに着目した。それは中国料理店に原点回帰するアイデアだった。1990年に同店をオープンし、今の形態のなかで同商品も誕生した。
三好比呂己代表は「スーラータンは中国で最もポピュラーなスープで、私も幼い頃から慣れ親しんでいました。それに麺を入れたらと単純な考えが発端です」。また、開発について「日本人の舌に合わせつつ、中国ラーメンの個性を表現するのに一苦労でした。なかでも黒酢を入れるか迷いましたが、担当者に押し切られ入れることに、今ではそれがよかったのかも」と当時を振り返る。
●商品の特徴:本格スーラータンに引けを取らない味
同店の一番の特徴は中国ラーメンへのこだわりだ。スープ、かえし、麺といった日本のラーメンと違い、1皿の中国料理を作るのと同様に、1杯1杯を一から丁寧に作るから手間暇もかかる料理といえる。
同商品も本格スーラータンスープに引けを取らない具材の豊富さと、スーラータンメン専用のラー油が使用されている。また、麺は自家製麺で、祖父の代から受け継がれている柳麺(細麺)と刀切麺(太麺)から選べる形となっているのも魅力である。
●販売実績:フランチャイズ展開を開始
通算約500万食の実績を誇る同商品。「最初から売れていたわけではありませんが、ある時期をさかいに爆発的に伸びた感じです。メニューの多い現在でも構成比15~20%を占めています」と三好一太朗専務は話す。
また、今後の展開として、三好代表は「年10店舗のスピードでフランチャイズをしていきます。中国ラーメンの魅力を全国に伝えていきたい」とさらなる展望を語る。
●企業データ
(株)ホイッスル三好/本社所在地=東京都杉並区和泉3-46-9 YS第一ビル/事業内容=中国ラーメン揚州商人(30店舗)、揚州商人夢包(1店舗)、活力ラーメン元氣一杯(FC1店舗)を運営(2013年4月現在)