メニュートレンド:インパクトある食材で専門店に 「高知須崎家 うつぼ姫」
高知ではメジャーな魚ながら、全国的には提供される機会が少ない“ウツボ”。このインパクトある食材に着目し、大阪で今年5月にオープンしたのが、「高知須崎家 うつぼ姫」である。現地での食べ方とともに、気軽に味わえるメニューも開発し、ウツボのおいしさと認知度アップに注力している。
●“開き”で仕入れて調理 創作メニュー開発で親しみやすく
「高知といえばカツオ。でも他の食材はないかと、高知ではよく食べられているウツボに思い至りました。大阪初の専門店として、その魅力を紹介したい」と、高知県出身でもある、運営のМ&J代表・大宮雅展さん。
ウツボは、見た目は怖いが、食べるとそのうまさに驚かされる魚。身は白く淡泊な味わいで、独特のプルプルした食感が特徴である。また、皮と身の間には豊富なゼラチン質を含み、ヘルシー感もある。しかし、小骨が多く処理が難しいため、さばくには熟練の技が必要になる。現地以外の飲食店では、気軽に取り入れにくい食材といえよう。
同店が使用するウツボは、ウツボをソウルフードとして消費する、高知県須崎市から直送されるもの。現地の水産加工会社が処理をして“開き”の状態で届くため、取り扱いの手間やストレスがなく容易に調理へと活用できる。
同店の一番人気は、「うつぼの藁焼きたたき」。カツオのように半生ではなく、中まで火を通して提供する。メニューには、唐揚げやかば焼きなどのスタンダードなウツボ料理の他、「うつぼの湯葉巻揚げ」やネーミングにも納得の「う巻」などの創作料理も用意している。
メニューには、ウツボのすき焼きや水炊きなどの鍋メニューもあるが、「最初から鍋では、ハードルが高い人も多い。まず、食べやすく想像しやすい一品からおいしさを感じてもらって、次へとつなげてもらえたら」と大宮さん。今後は、和風以外の創作メニューも開発し、ウツボの可能性を広げていきたいという。
食材には、須崎市で養殖するカンパチやタイなどの魚介やミョウガなどの特産物を取り入れて、ウツボ料理以外の味も提供。コースもあり、宴会需要にも対応している。「ウツボは、調理法により食感が変化する面白さがあります。とっつきにくいイメージを持っている人にも、さまざまな楽しみ方を提案し、目新しい食材をもっと知ってもらえるように努力していきたい」と話す。
●店舗情報
「高知須崎家 うつぼ姫」 経営=M&J/店舗所在地=大阪府大阪市中央区西心斎橋2-4-14/開業=2017年5月/坪数・席数=20坪・28席/営業時間=17時~23時30分。日曜定休(連休の場合は変動あり)/客単価=5000円/1日平均集客数=15~25人/客層=幅広く、男女比は均等
●愛用資材・食材
「ブシュカンポン酢」 SERIKARU FOOD(高知県須崎市)
たたきに合うまろやかな酸味
同店の人気メニュー「うつぼの藁焼きたたき」にかけているのが、「ブシュカンポン酢」。ブシュカンとは、スダチやカボスに似た姿の柑橘類で、高知の特産物。スダチやユズよりもまろやかな酸味で、たたきにマッチする。同店では、水炊きのたれにも使用しており、系列店でも活用する愛用食材である。※写真は業務用
規格=1800ml