メニュートレンド:予想できない味、予想を超えたおいしさ 冷やし味噌かつ丼

2018.08.06 474号 16面
「冷やし味噌かつ丼」 1,600円(税込み)料理にはたっぷりのサラダと自家製漬物が3点付いてお得感満点

「冷やし味噌かつ丼」 1,600円(税込み)料理にはたっぷりのサラダと自家製漬物が3点付いてお得感満点

 この時季になると、「冷やし〇〇」というメニューが目を引く。冷やし中華や冷製パスタといった定番から、最近では冷やし天丼や冷やしおでんなども登場。数ある冷やしメニューの中でも、「これが冷たいなんて想像がつかない。あり得ない」と通常の発想力を超えているのが、「菩提樹」の「冷やし味噌かつ丼」だ。

 ●夏場の揚げ物のキラーメニュー

 「菩提樹」はA5ランク和牛のハンバーグやステーキと並んで、豚カツが評判の店。揚げ物が敬遠されがちな夏場は、揚げ物を看板にしているお店にとっては売上げ減につながる。それを挽回するために「夏場でも“さっぱりと食べられる豚カツ”をということで考案したのが『冷やし味噌かつ丼』です」と語るのは吉田大介社長。

 とはいうものの、カツは揚げたてを食べるもの。“冷たい豚カツ”というものが想像できない。

 「そうなんです。なので、このメニューで一番苦労したのは作り方ではなく売り方です。“冷たい豚カツ”がイメージできないので、お客さまも注文するのを躊躇(ちゅうちょ)されて……」という状況だったが、メニューブックにPOPを付けたり、店内にポスターを貼ったりと地道に宣伝した成果で、次第にオーダーが入るようになった。

 オペレーションは、まず炊きたてのご飯を氷水で洗って締める。ご飯を冷ますのと同時に、だし汁をかけてもご飯がふやけないようにするためだ。

 水を切ったご飯を丼に盛り、冷蔵庫で冷やしておく。オーダーが入ると、これに八丁味噌ベースの冷やしただし汁をかける。これだけでも十分に“冷やし”だが、ここで、なんとクラッシュアイスを散らすという大胆な行動に出る。

 「揚げたての豚カツをのせると、その熱でだしがぬるくなってしまいます。中途半端にぬるいのはおいしくない。冷やすなら、しっかり冷やさないと」と言うのは品川勝巳店長。

 氷はブロックアイスでは口の中で邪魔になり、かき氷ではすぐに溶けて保冷効果がイマイチ。だし汁自体を凍らせたこともあるが、水と調味料が分離して見た目が良くない。試行錯誤の末にクラッシュアイスがベストという結論になった。

 クラッシュアイスの上に豚カツをのせ、とろろをかける。豚カツは食べ始めはサクサク、次第にだし汁が染みてしっとりと。ご飯部分のとろろ汁は最後まで冷たく、“涼”を運ぶ。

 看板メニューの豚カツが、夏季限定の“冷やし”となって、夏場の売上げに貢献しているというわけだ。

 ●店舗情報

 「菩提樹」 所在地=東京都文京区本郷1-14-3 東野ビル地下1階/開業=1982年/席数=104席/営業時間=月曜~金曜11時30分~15時30分、17時~22時30分、土曜11時30分~22時30分、日曜・祝日11時30分~22時。無休/平均客単価=昼1200~1400円、夜2000~3000円/1日平均集客数=昼約50人、夜約80人

 ●愛用資材・食材

 「カクキュー 八丁味噌 銀袋」 八丁味噌(愛知県岡崎市)

 だし汁の味の決め手

 八丁味噌の伝統ブランド。大豆と塩を天然醸造でじっくりと熟成。「『冷やし味噌かつ丼』のだし汁のベースになっています。冷たくしても、独特のコクと風味が生きていて、豚カツとも、とろろとも相性がいいです」と品川店長。

 規格=1kg(500g×2)

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